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カッパ・ノベルス
殺意―松本清張短編全集〈4〉 (3版)

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  • サイズ 新書判/ページ数 294p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334074883
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0293

内容説明

本書には昭和三十一年以降の作品を収めた。このころから、「殺意」、「白い闇」など、推理小説の分野に力作がつぎつぎと生まれている。「殺意」は著者がはっきりと推理小説を書こうという意欲をもって取り組んだ最初の作品である。ホワイトカラーの出世競争にからんで、人間心理の深層にある憎悪をテーマにしたもので、清張ミステリの基盤である“日常生活の中に生まれる犯罪”という主張を打ち出し、このあと書かれた長編推理小説「点と線」へとつながる特徴的な作品である。「白い闇」は、十和田湖から、松島をめぐる東北の取材旅行をした結果生まれた作品だが、これもまた、実在の名勝を犯罪の背景としてめんみつに描くという流行、いわゆる“旅ものミステリ”のさきがけとなった。「通訳」は、かなりな清張ファンにも、あまり知られていないと思う。時代を江戸中期にとって歴史小説のかたちをとっているが、じつは戦後のアメリカ占領時代を風刺した作品である。これは著者がとくに好きな短編の一つであるという。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

がらくたどん

55
本書収録の「通訳」のみ。「家重の言葉を聴きとった人の事なんて殆ど知らんな~」と思いながら木村嵐氏の『まいまいつぶろ』を読んでいる途中で思い出した唯一既読の「家重と忠光」のお話。清張の筆は家重を生来の虚弱と極度の吃音のストレスに優秀な弟宗武と比較され続ける事で募った「劣弱意識」で女色に溺れた結果、酷い言語障害と頻尿を伴う病体となった人物と描いて容赦ない。忠光にしても逐語解ではなく高度な推察と断じる。で真骨頂はここから。自身の推察に過剰な自信を得た忠光はある日家重の好物絡みの「発言」を曲解していた事に気づく→2023/09/21

雲國斎

14
昭和30年代に書かれた短編集、「殺意」「白い闇」「蓆」「箱根心中」「疵」「通訳」「柳生一族」「笛壺」の全8篇。お茶壺道中にまつわる「蓆」が良かった。時代ものは古くささ、感じないし。2021/07/31

ヴァン

8
 古書で買った短編集。ずいぶん昔に既読のものも収録されていたが、ディテールは忘れていたので新鮮な印象で読んだ。『白い闇』は名作『ゼロの焦点』を何となく連想させる。清張さんが職業作家として量産しだした昭和30年代の作品集で、味わい深い。2019/10/06

そのぼん

7
かなり昔の作品ってこともあってか、そのぼん的にはかなり難解でした。昭和31年前後の作品群とのことなので、その辺をしっかり頭に入れて作品を読んだ方がいいかもしれません。2011/10/21

kumi

5
すごいトリックや手の込んだ設定がある最近のミステリを読むなかでこういうのを手に取ると、結局人間の欲や本能がいちばん怖いよねって思う。松本清張は今後も時々のスパイスのように読むと思う。2019/05/12

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