内容説明
平河町一番ホテルに宿泊していた受験生・尾崎孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。危うく焼死するところを、謎の男に助けられた孝史は、その男とともに昭和十一年二月二十六日にタイムスリップ―雪の降りしきる帝都では、今まさに二・二六事件が起きようとしていた。その日、蒲生邸では蒲生陸軍大将が自決。三宅坂一帯は叛乱軍に占領され…。この叛乱の結末、これからの昭和の戦争への悲惨な歴史を知る孝史たちにできることはないのか。“運命の四日間”に交錯する人々の命運!当代随一のストーリーテラーが時を超えて描く、ミステリー巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
83
再読とは言え、覚えてたのは、主人公の少(青)年が2.26さ中の東京にタイムスリップしたこと、そこでふきという女性と会ったことぐらい。初期作品だからか力が入った感じはあるがやはり読ませる。ミステリー、昭和の時代小説、SF。様々な要素がぎっしり詰まっている。密室となった邸で起こった事件の謎、戦争へと向かう時代の空気や人々の想い、タイムトリッパーの関与と心情。歴史の中で人の力はあまりに小さい。それでも人は抗い、ほんの少し世界を変える。そんな姿が愛おしく見えるのは、それが宮部さんご自身の眼差しだからなのでしょう。2025/02/25
kagetrasama-aoi(葵・橘)
38
宮辺みゆき氏、登録六十七作目。ミステリとしても、SFとしても十二分に楽しめる作品。再読ですが、初読が随分前なので全く記憶がなくて、結末が凄く気になりました。主人公の高校三年生の少年が、二、二六事件について殆んど何も知らないことを恥じる描写があります。学校の歴史の授業では日本の近現代史は殆んど習いません。私も同じです(笑)!とても興味深く読みました。面白かったです。2020/01/31
藤枝梅安
21
私の読書熱を上げたのはこの作品と同じ作者の「火車」、そして浅田次郎さんの「壬生義士伝」。何度でも読みたい名作だと思う。2010/02/13
miho
14
北村薫『鷺と雪』、恩田陸『ねじの回転』と経て2・26事件つながりで読んでみた。事件自体が色々なことを深く考えさせられる大変興味深い史実なのだが、自分の読んできた3作品は著者ごとに全く違う料理法ながら、とても上手なフィクションに仕上げられていると思う。小説の中で登場人物の感情をなぞっていく一方で、現実の自分自身が過去の史実やそこから繋がる現在と向き合っていく不思議な感覚。フィクションもノンフィクションも、現在も過去もすべてが一直線上にあると感じさせてくれるような作品は好きです。2011/01/23
蕭白
11
久しぶりに再読。何度読んでも、エンディングのふきさんの手紙を主人公が読む場面はいいですね。2019/06/29
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