出版社内容情報
バッタ博士のデビュー作を新書化。紙・電子で累計24万部の『バッタを倒しにアフリカへ』の前日譚。いける本大賞(第4回)受賞。
目次
第1章 運命との出逢い
第2章 黒き悪魔を生みだす血
第3章 代々伝わる悪魔の姿
第4章 悪魔を生みだす謎の泡
第5章 バッタde遺伝学
第6章 悪魔の卵
第7章 相変異の生態学
第8章 性モザイクバッタ
第9章 そしてフィールドへ…
著者等紹介
前野ウルド浩太郎[マエノウルドコウタロウ]
昆虫学者(通称:バッタ博士)。1980年秋田県生まれ。国立研究開発法人国際農林水産業研究センター(国際農研)主任研究員。秋田県立秋田中央高校卒業、弘前大学農学生命科学部卒業、茨城大学大学院農学研究科修士課程修了、神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。博士(農学)。京都大学白眉センター特定助教を経て、現職。アフリカで大発生し、農作物を喰い荒らすサバクトビバッタの防除技術の開発に従事。モーリタニアでの研究活動が認められ、現地のミドルネーム「ウルド(○○の子孫の意)」を授かる。著書に、毎日出版文化賞特別賞、新書大賞、ブクログ大賞を受賞し、21万部を突破した『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)、その児童書版『ウルド昆虫記 バッタを倒しにアフリカへ』(光文社)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
105
「バッタを倒しにアフリカへ」の前日譚。アフリカに行く前、前野青年は昆虫学者に憧れ、筑波でバッタの研究に勤しむ。毎日バッタに餌をやり、条件を変えて育てて採卵して卵のサイズを測って幼虫の大きさを測って成虫の大きさを測って解剖してデータを取って論文を書く。その繰り返し。様々な発見をしたり、他の研究チームと競ったり、濃い内容なのだが、本から得られる情報の9割ぐらいはサバクトビバッタに纏わることである。その情報が今の私に必要なのかと自らに問いたい。なかなか長い本である。研究は大変だということはよーく分かった。2022/07/27
NADIA
64
本来の研究発表の第一冊目。文章は面白いがさすがに研究内容の解説がガチすぎるので、巻頭でおススメされた「分かりそうなグラフだけ、ふむふむと読んで、ややこしそうなグラフと解説はすっ飛ばし、分かった気になる」という『快速・読み飛ばしコース』で挑んだよ。それでも十分以上、バッタの生態情報でお腹いっぱいになる。同じ人が書いたから面白い要素はもちろんあるけど、「バッタへの興味はさほど」と言う人はやっぱり『バッタを倒すぜ、アフリカで』の方が楽しめると思うね。2025/05/07
ニッポニア
63
これは面白い。学術とエッセイの軽さを兼ね備えた本。バッタの生態は興味深いし、学者としての異様さも楽しめる。以下メモ。数年に一度発生するバッタの大群、過ぎ去った後には緑はなにも残らない。その群れに緑の服を着て行って食べられたいという異常な学者。狭い空間で幼虫を飼育し、混み合い、ぶつかることで長距離移動が可能な体に変化する。バッタといるときだけ等身大の自分に戻れる。定説が崩壊。誰にでもできることを、誰にもできないくらいやろう。夜にまぎれて。2024/07/27
あやの
59
「バッタを倒しに~」に至るまでのバッタ研究をかなり専門的に書いているのがこの本。研究データを詳しく著しているので、私のような虫嫌いの方は片目つむって先を読み進めることをお勧めする。なぜそれなのに読んだのかというと、前野さんのバッタへの熱量と、面白すぎる文章にやられたから。分野がどうであっても、研究者という人々は、これと決めたモノをどこまでも追究することに喜びを感じるのだということが良く分かる。お金にならなくても、「研究できているからそれでいい」と言い切る。ホントに面白い人生だと思う。2022/11/05
さぜん
57
前作とは違い「グラフマシマシ、説明オオメ、文章カタメ」のコッテリ作品。快適読み飛ばしコースを選択しバッタに一ミリも興味がない私が読破した先に著者からお褒めの言葉が。理解度は浅いながら昆虫の生態の面白さや研究者への果てしない道程などとても興味深く拝読した。相変わらずユーモア溢れる文章は絶品。「非常識なことをやるためには常識をしっておかねばならない。不真面目なことをやるためには真面目を知っておかねばならない」と名言もあり。研究の面白さの真髄を教えてくれる。こんな面白い論文書けたら幸せだなあ。2022/08/20