出版社内容情報
コロナ禍から1年、業務委託と変わる働き方でわかれる明暗、そして女性が置かれ続けてきた「構造的な弱さ」が取材で明るみになった。
目次
第1章 シングルマザーを全方位から襲う困難(すべては一斉休校から始まった;感染の恐怖に押しつぶされるひとり親 ほか)
第2章 ステイホームできない女性たち(増加する家庭内暴力;行き場をなくした果てに;妻でも母でもない女性の居場所はどこに)
第3章 エッセンシャルワーカーの苦境(「感謝」では救われない医療現場;崩壊へと加速する介護現場;生活を支えるエッセンシャルワーカーの受難;使い捨てられる非正規公務員)
第4章 テレワークの明と暗(テレワーク階級―新しい身分制度の誕生;テレワーク普及とジョブ型雇用の罠 ほか)
第5章 孤立する女性たち(増える女性自殺者;孤立する氷河期世代;高齢おひとりさま女性の貧困)
著者等紹介
飯島裕子[イイジマユウコ]
東京都生まれ。大学卒業後、専門紙記者、雑誌編集を経てノンフィクションライターに。人物インタビュー、ルポルタージュを中心に取材、執筆を行っているほか、大学講師も務めている。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
93
疾病や不況など社会を揺るがす事件は、最も立場の弱い人を直撃した。新型コロナで失業したシングルマザーや非正規従業員、DV被害者にテレワークのできない人などのセーフティーネットになってきた飲食や風俗業が営業できなくなり、助けを求められず孤立して苦しむ女性たちの様子は痛々しいほどだ。そうした現実から目をそらして政府は自立自助自己責任とほざき、既得権益層は自分に回る金が減るのを恐れ見て見ぬふりをする。変化に対応できない日本の不条理なシステムが国民の分断をもたらしている現実は、暴力革命によってしか解消できないのか。2021/12/18
katoyann
26
コロナ禍の雇用ダメージは「非正規・サービス業・女性に集中」(同書17頁)しているとして、女性の貧困の現実を説明する。特に飲食産業にダメージが大きく、昨年度は女性の従業員が154万人減少となったそうだ(15頁)。女性の自殺率が急増し、シングルマザーの7割がコロナ禍で収入減となり、さらにそのうち2人に1人が半減したという。女性の労働者の53%が非正規であり、サービス業に集中しているため、緊急事態宣言により失業した女性がかなりいる。この中で生活保護の申請を断る事例も紹介されている。酷い。餓死者が出る。必読書。2021/10/28
kan
24
web連載を元にしたルポで、さまざまな立場の女性の声を取り上げつつ簡潔にまとまっており非常に読みやすい。調整弁としての非正規雇用の問題はずっと議論されているが、特に女性に多い雇用形態や職種が調整弁になりやすく、さらにコロナ禍が分断と対立を深化させたのは実感するところだ。そして日本の65~69歳の就労率がほぼ50%、70~74歳で32%という数字も異常だ。昭和の家庭をモデルにした雇用と社会保障制度はとうに破綻しているのに、つぎはぎで延命を試みた結果の日本社会の綻びと崩壊が本書によく表れていると思う。2022/11/06
遊々亭おさる
23
「僕らが生き急げば 弱い者から必ず先に死ぬ」THE BOOM が歌った反戦への思いを込めた歌の一部だが、戦争でもないのにコロナ禍で自殺に追いやられる女性が増えたという。対コロナを戦争に例える人もいたが、政府や専門家は何と戦っているのか。菅前総理は、自助の精神で難局を乗り切れと言った。一国の総理がそう言うのだから非正規雇用の労働者を雇う企業もそりゃ冷淡になるわな。路上生活を送るような状態に陥った女性が己れの境遇を自己責任と恥じる。過去がどうあれ困窮者にそう思わせる冷たさよ、と明日は我が身かも知れぬ私は思う。2022/01/28
Daisuke Oyamada
11
コロナウイルスの影響を受け始めてから1年半余り。 その間に女性たちに何が起こっているのか? 困難が集中するシングルマザー、 ステイホームすることがままならない女性、 困難が集中する単身女性など それぞれが置かれた状況について、女性たちを襲うさまざまな困難や制度上の綻び、背景にある構造的問題まで、コロナ禍で露呈した事実が紹介されています。 就職氷河期に正社員になれなかった・・・ https://190dai.com/2023/05/08/ルポ-コロナ禍で追いつめられる女性たち-深まる孤/2023/05/08