出版社内容情報
明治から昭和までの名だたる文豪たちが小説中に描いた「恋」を読みとくまったく新しい切り口からの文芸評論。
目次
第1章 「恋愛バブル」と「バタフライ効果」がもたらした2つの自死―夏目漱石『こころ』
第2章 エリスを残して帰国した豊太郎は本当にクズ男なのか?―森鴎外『舞姫』
第3章 「三角関係」と「片想い」、あるいは「失恋」まで―武者小路実篤『友情』
第4章 人はにおいを嗅いで恋をする―田山花袋『蒲団』
第5章 「浮気市場」の傾向と対策―太宰治『斜陽』
第6章 夫婦の相性を規定するもの―谷崎潤一郎『痴人の愛』
第7章 処女性と恋愛のゆくえ―川端康成『伊豆の踊子』
第8章 三島由紀夫が「初恋」について書いたこと、書かなかったこと―三島由紀夫『潮騒』
第9章 「幸せな結婚」を科学的に考える―堀辰雄『風立ちぬ』
終章 僕と緑の「過剰さ」について―村上春樹『ノルウェイの森』
著者等紹介
森川友義[モリカワトモノリ]
1955年群馬県生まれ。早稲田大学国際教養学部教授。政治学博士。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、ボストン大学政治学修士号、オレゴン大学政治学博士号取得。専門分野は日本政治、恋愛学、進化政治学。早稲田大学の講義「恋愛学入門」は学生に絶大な支持を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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M
41
「こころ」「舞姫」「蒲団」などの文学作品を“恋愛学”の観点から読み解こうという本。しかしたとえ恋愛において人のココロは変わらないなどとしても、いかんせん100年前の文化的側面における価値観を、現代のそれで測りすぎな感が否めない。さらに著者の偏重と軽薄さのようなムードが随所に感じられてしまい、恋愛学の観点云々といえばそれらしさが匂わせられるのかもしれないが、かえって“単なる主観、あしからず”くらいのノリの方が潔いし、こちらも納得して軽く読める気がする。Kはいい男だったのになぁ、死にさえしなければ。時代か。2021/02/08
みこ
19
近代以降の文豪達の代表作を恋愛学という観点から登場人物の行動について読み解く。近代文学を代表するクズの舞姫・太田豊太郎は恋愛学の世界ではクズではなく、同時にキモイ代表の蒲団・時雄もまた言うほどキモくはないらしい。青春恋愛文学の代表である潮騒には恋愛に必要な過程が描かれていない。などなど、目から鱗の数々。でもそう言われても時雄はやっぱりキモイよ。2020/11/12
Iwata Kentaro
7
恋愛学という学問領域は面白いのだけど、過去の文学をあまりに現代目線で切りすぎだし、それ以上に著者の主観で切りすぎ。学問的意匠をまとってはいるけど学問用語を多用したエッセイで、どんな文学も主観だけで学問チックに切り取ることができる、という好例。2021/01/25
oooともろー
6
恋愛学・経済学・心理学から読み解く文学。『こころ』『舞姫』『蒲団』など。このような視点で読んだことがないので面白かった。2020/12/29
kazu4
4
面白かった‼️ 恋愛学の観点で、名作を切りまくっています。もう一度、読み直そうという気持ちになりました。2020/10/07