内容説明
ある晴れた休日、「今日はお出かけ日和だ」と言って意気揚々とAさんが家族をつれてピクニックに出掛ける。ところが、急に天気が崩れて土砂降りになり、「ほんとに今日はお出かけ日和ね」と家族に言われてしまう。Aさんに対する非難のこもったこの発言がいわゆるアイロニー発話と呼ばれるものの典型とされる。この場合、「アイロニー」に「皮肉」という訳語を当ててもかまわないが、アイロニーは「皮肉」よりも幅広いカテゴリーの修辞的表現である。本書では、この「言いたいことの逆を言う」アイロニーがどうして相手に伝わるのかという問題を考える。現実を相対化するための、知的な「武器としてのアイロニー」の可能性も示す。
目次
第1章 言葉のアイロニー(アイロニーとは何か?;語用論的アイロニー論;アイロニーのこだま理論;ほのめかし理論;偽装理論)
第2章 アイロニーのメンタル・スペース構造(メンタル・スペース理論;アイロニーの多様性を説明する;アイロニーに隣接する修辞法;シグニファイング・モンキー)
第3章 文学作品におけるアイロニー(アイロニーはちゃぶ台をかえす;哲学におけるアイロニー;結果が期待を裏切るとき;アイロニーの意図、転倒する価値;もつれるアイロニーと小説;パロディー、パスティーシュ;虚構スペースで遊ぶということ)
著者等紹介
木原善彦[キハラヨシヒコ]
1967年鳥取県生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科教授。専門は現代英語圏文学。京都大学文学部卒業、同大学院文学研究科修士課程・博士後期課程修了。博士(文学)。2019年、ウィリアム・ギャディス『JR』(国書刊行会)で第五回日本翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中玉ケビン砂糖
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