出版社内容情報
鳫咲子[ガン サキコ]
内容説明
二〇一五年、埼玉県北本市の中学校で給食費未納が三カ月続いた場合「給食を提供しない」ことを決定したニュースが朝日新聞の第二社会面トップで報じられた。アメリカの小学校ではその前年、給食費未納を理由に生徒の昼食が目の前で取り上げられるという事件も起きている。「保護者の責任の問題」「払わないなら食べるな」そう批判するのは簡単だ。だが、そこに潜む本当の問題が見えているだろうか?「子どもの貧困」を食という側面から考え、最新のデータとともに福祉の新しい視座を提言する。
目次
第1章 払わないなら食べさせない?
第2章 給食費未納は子どもの貧困のシグナル
第3章 欠食児童から始まった学校給食
第4章 給食格差と食生活格差
第5章 完全給食実現後の子どもたち
第6章 子どもの食のセーフティネット
著者等紹介
鳫咲子[ガンサキコ]
跡見学園女子大学マネジメント学部准教授(行政学)。上智大学法学部国際関係法学科卒業。筑波大学大学院経営・政策科学研究科修了。子ども・女性の貧困等に関する調査研究を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
99
{2016年} 払わないと払えない、いずれも子どもには何ら責任はない。無料化が望ましいし実現不可能ではない筈。ちなみに昼食には完全給食(ミルク、おかず、主食)・補食給食(ミルクとおかずのみ)・ミルク給食(ミルクのみ)・給食なしの4種類あるのをご存知でしょうか? 完全給食率は公立小学校で99,6%、公立中学校で81,5%、保護者が負担する完全給食の給食費の年額は、小学校約46000円、中学校約53000円。完全給食未実施率全国第1位は神奈川県で、35%(横浜市)が給食なし、47%(川崎市など)がミルク給食。2016/10/17
瑪瑙(サードニックス)
46
給食費未納の問題は以前にテレビで見た事がありましたが、インタビューに答えていた母親は払えるのに文句を言って払っていない人でした。この本で取り上げられている人はその人達とは違って貧困などの何らかの理由があって、払えない家庭の子供達の事でした。子供は国の宝です。資源のない日本においては優秀な人材こそ宝です。その未来ある子供達が満足に食事を摂れないというのはゆゆしき事態だと思います。義務教育中は、給食を無料に出来るように何とか政府に対策をたててもらいたいものです。2016/11/28
ゆう。
35
埼玉県北本市において給食費未納が三カ月続いた子どもに対して給食を提供しないということが起きました。著者はその問題から給食とは子どもにとってどんな意味を持つのかを歴史的にも明らかにし、給食費未納は子どもの貧困と深く結びついていること、食のセーフティネットが給食であることなどを明らかにしています。学校においては、給食費未納は「困った子」であり「困った保護者」として問題扱いにされることがあります。しかし、給食費未納が子どもの貧困などのSOSと捉えて支援していく必要があるのだと思いました。また無料にすべきですね。2016/10/10
マッキー
20
親が払わない(払えない)のなら食べるなって一方的に子供から権利を奪うのも可哀想だと思う。給食は一種のセーフティーネットなので、完全無料化ができればいいけれど業者とのやり取りや財源の確保も必要になってくる。今後の重要課題かもしれない。1年で5万円未満なので高くはないけど、それすら払えないほど切羽詰まってるという人がいる現状。雇用問題にもつながっていくと思う。2016/11/11
kotte
17
給食費未納は子どもの貧困問題と密接に関係しています。親が払わないことは子供には全く罪がありません。確かに払えるのに払わないフリーライダーに対しては厳しく対処する必要があるかもしれませんが、そのフリーライダーを根絶するために、払えない家庭までも苦しい状況に追い込まれているのであれば問題です。払えるのに払わないのと本当に払えないのは外部から見ると判断できないので、無償化するのがいいかもしれませんね。2018/01/07