内容説明
エネルギー転換、ユーロ危機、ロシア・中国への接近―気鋭のジャーナリストがドイツの危うさの正体を突き止め、根強い「ドイツ見習え論」に警鐘を鳴らす。
目次
はじめに 危うい大国ドイツ―夢見る政治が引き起こす混乱
第1章 偏向したフクシマ原発事故報道
第2章 隘路に陥ったエネルギー転換
第3章 ユーロがパンドラの箱をあけた
第4章 「プーチン理解者」の登場
第5章 中国に共鳴するドイツの歴史観
おわりに ロマン主義思想の投げかける長い影
著者等紹介
三好範英[ミヨシノリヒデ]
1959年東京都生まれ。東京大学教養学部相関社会科学分科卒。’82年、読売新聞入社。’90~’93年、バンコク、プノンペン特派員。’97~2001年、’06~’08年、’09~’13年、ベルリン特派員。現在、編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
132
この本を読むと最近のドイツというのは私が昔いた当時と大分変ってきてしまった、と言わざるを得ないような感じがします。2011年の福島の原発の災害に対してのものすごい過剰反応というものが書かれています。チェルノブイリでの経験がこのような反応を引き起こしているのでしょうか?日本やアメリカから距離を置いて、ロシアや中国へ接近しているということですが本当なのでしょうか?昔のイメージから抜け出せない私が遅れてしまったのでしょうかねえ。2016/05/28
HANA
64
ドイツの政治問題を解説した一冊。原発、ユーロ、ロシア・中国問題を扱っているのだが、2015年発行なのでその後の難民問題やコロナ禍を経てそれがどう変化したのかも知りたい所。ドイツ政治を動かす背景にはドイツ人独自のロマン派的な思惟が存在すると説いてあるが、実例を多々出されているため説得力がある。なんというかドイツ政治の場合、「かくあるべし」が先に立ち、現実が後回しにされている印象があるんだよなあ。難民問題とかそれが顕著だし。ドイツロマン派、文学としては好きなんだけど…。是非続編が読みたいと思える本でした。2021/09/13
kawa
29
福島原発事故を見て脱原発へなだれ込み、ユーロを通じてのヨーロッパでの圧倒的主導権の把握、ロシア・中国という東方世界への接近、という3つの切り口からドイツを論ずる。筆者は読売新聞編集委員(当時)で、これらを持ってドイツが日本の最大のリスクとなると言う。一読で何故、最大リスクとなるかは良く解らないのだが、これまでの、論理的・頑迷というイメージだったドイツ人が、夢見る人である論にはびっくり。(追加です)日本人も論理性は低いが、夢見る人かも。とは言え、それを持ってドイツに無用な期待をすることはリスクですね。2017/11/20
Kentaro
24
ユーロ危機を招いたギリシャ支援におけるかたくなな姿勢。戦争責任をナチとホロコーストと言う絶対悪におき、謝ると言う行為で地位を守ってきた姿勢。 ロシアや中国への接近による経済の先導。日本の福島原発などへの対応に関する学者やメディアの調査不足や無理解を改めずに日本批判する姿勢。 難民受け入れに関する過度な優遇策による疲弊など等、著者のドイツ評を丁寧に解説したものだ。 日本人にありがちな他国の一面の理想視が行きすぎることは必ずしも良いことではない。その事をわかって欲しいといった主張だった。2019/04/09
ぷれば
24
読売新聞入社後、ベルリン特派員として長年ドイツで取材活動を行ってきた筆者が「夢見る人」とドイツとドイツ人を定義し、ドイツを読み解く書。ユーロ危機におけるギリシャ支援、露中接近と米離、そして学者やメディアの誤解に基づく日本批判。本書ではEUのリーダーであり、GDP世界第4位の大国ドイツの真実、現状ならびに内在する問題点を探っている。中でも日本では報道されない反日ぶりに茫然。エネルギー、ユーロ危機、露中接近の3テーマから、ドイツの危うさ、「ドイツを見習え論」に警鐘を鳴らしている。2016/01/21