内容説明
年金、医療、老人介護、育児・保育支援…社会保障の充実と経済成長の両立は可能だ!
目次
序章 アベノミクス「成長戦略」の心もとなさ
第1章 なぜ社会保障は悪者にされるのか
第2章 「小さな政府」イデオロギーの誤り
第3章 「効率性重視」から、「生活革新」型の成長戦略へ
第4章 少子化対策を成長の基盤にする
第5章 年金給付水準は、削減すべきか維持すべきか
第6章 債務問題はこう考えればいい
第7章 「共同子育て社会」という成長戦略
著者等紹介
盛山和夫[セイヤマカズオ]
1948年鳥取県生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。東京大学大学院社会学研究科社会学専攻、博士課程中退。関西学院大学社会学部教授、東京大学名誉教授。博士(社会学)。北海道大学授教授、東京大学大学院教授を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
まさのり君の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
28
現実見据え前向きに議論を進めようとした時の、お金というものの威力ってすごい。◇子育てや介護は社会で支える。税金はできるだけ減らし小さな政府にする。こうした案件、人の信念に関わる事だけに、対話というものが成立しにくい。相手を認めることは自己の否定につながってしまうから。でも、お金の話にしてしまえば損得の問題、折り合いがつく。著者の意見に反対ならば、同じ土俵の上で別の試算を示せばいい。違いは前提・設定だったり、シミュレーションのシナリオだから。◇それにしても、増税が経済にプラス、というくだり、目から鱗だった。2015/04/21
ゆう。
17
現在の政府が進める新自由主義的社会保障改革である規制緩和や市場化の方向性について、「小さな政府」論は誤りだとして、批判的に論じられた本です。財政難を理由に必要な社会保障を削るのは手段と目的とを取り違えていると批判しています。こうした主張は大切だと思いました。しかし、財源論が消費税ありきとなっているところは大きな疑問があります。生活困窮者や福祉を必要としている人からも生きるために必要な経済活動を行うと強制的に負担を強いるのが消費税です。消費税は反福祉税といってもいいと思います。そこが残念でした。2015/09/05
Francis
10
著者は社会学者。社会保障費の増大は経済成長に悪影響をもたらすと言う経済学的な通説に対する反論を試みる。医療費や介護費は負担と言うよりも所得移転ととらえるべきであること、子育て支援は将来に対する投資であること、支給開始年齢引き上げなどの年金給付水準の削減よりもむしろ消費税増税による給付水準の維持の方が経済成長の上で望ましいこと、などが述べられている。卓見とは思うのだが、そんなにうまく行くのだろうか?と言う疑問も。主張をそのまま受け入れるよりも、あくまでも仮説の一つとして検証していく必要がありそう。2015/11/04
りょうみや
9
有名社会学者が書いた経済の本。社会保障を所得移転、子育て支援を投資と捉える。日本の債務(借金)は国内で金を貸し借りしているだけなのでまったく問題ないという立場。希望的観測も多い1つの理想論かもしれないが方向性はありだと思える。今の政府は逆の方向なので実現性は低そう。2017/12/11
yuko
6
経済学者の間では小さな政府こそが経済にとってプラスであり、社会保障は減らすべきというのが主流だが、果たして本当にそうなのか。医療や保育、介護も経済活動ではないのか、年金は所得移転ではあるが市場に出回らないお金というわけではない。年金が減額となったとして、保険料の減額分を消費に使える国民、将来に憂いのない国民がどれだけいるというのだろう。社会が大きく変革している今だからこそ、従来の常識にとらわれることなく、国民生活に求められることは何かを改めて問い直されている気がした一冊。2015/03/29
-
- 和書
- 無私の日本人 文春文庫