内容説明
スマホを手放せない私たちの身体は社会をどう変えるのか?
目次
日常性をどう考えるか
フィールドワークをすること
「あたりまえ」を疑い、見直すということ
日常性のフィールドワークをめぐる旅
日常生活批判のフィールドワークへ
魅力的なモノグラフを味わおう
質的調査方法論テキストの使い方
著者等紹介
好井裕明[ヨシイヒロアキ]
1956年大阪市生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。筑波大学大学院人文社会科学研究科教授を経て、2012年より日本大学文理学部社会学科教授。京都大学博士(文学)。専攻は、差別の社会学、エスノメソドロジー、映画の社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
35
著者は博士(文学)だから、社会学は文学部の中の社会学なのだろう。学部学生の卒論を先生は面白がっている(はじめに)。日常をどう考えるかを考えている本。参考文献の挙示は、文中に組み込んであるので、巻末に一覧はない。書誌学と社会学の双方が重要であると理解される一冊。フィールドワーカーたるもの、つねに自分をできる限りオープンにしておくことを提唱される。つまり、語りなどの未知なるものに、私をあけておく必要があるのだ(54頁)。 2014/09/14
黒頭巾ちゃん
24
「“いま、ここ”を感じ合わないから違和感を覚えることってあるよね?」例えば、会社で洗剤のPRをする男性社員は、女性しか登場しないCM世界では画期的だが、そもそも男=ソトで働くに違和感を覚えるよね?など。“リア充”を嫉妬するのは、“いま、ここ”を生きていないから。リア充は生きている。スマホなどのバーチャルでは、“いま、ここ”を感じることはない。そこからの成長や充実もない。当たり前を疑い、“いま、ここ”を感じることの勧め(^_^)対象世界に入りこむことがフィールドワークですから。お勧め本の記載あります2014/10/26
苦虫
12
「日常の当たり前を疑う」という、もう社会学なら初歩的、故に奥深い命題の追求入門編。社会学一発目の授業で「社会学は経済学とかみたいに役立たない、学ぶことによってむしろ生きづらくなるかもしれない」と言われたのを思い出した。「Kは精神病である」のくだりは、あまりにも恣意的に当たり前に異常と線引きをしてしまうことに対して、そしてその当たり前の暴力性を実感して戸惑った。ベロニカ~の読後だったから余計。社会学者って薬害エイズ被害者からの要請で医者への聞き取り調査もするのね。光文社の「知は、現場にある」の栞、巧み過ぎ!2015/01/14
Nobuko Hashimoto
8
あたりまえと思われているふるまいや言葉に著者は違和感をもち、それはどこから生じるのか思考する。具体的事例で説明している部分が面白かった。社会学を学ぶ学生だけでなく、クリティカルに、ていねいにものごとを見て考える力と習慣をつけようとする人の参考になるのではないかと思う。2014/12/03
kuukazoo
6
当たり前に生きている日常の中でスルーしている多くのことを今一度捉え直すという試み。その時にキーワードとなるのが「違和感」なのだが、それこそ自分がこれまで生きてきた中で形成されてきたバイアスに基づくものであり、これに気づいていないでなされる批判などはただの偏見としか思えない。著者のスマホ批判などまさにそうなのではないかという気がしてややもやもやした。エスノメソドロジーの発想や手法については、面白いと思った。2017/07/29