内容説明
回避性とは、親密な関係を避ける、責任や面倒を避ける、チャレンジを避ける、傷つくことを避ける、感じることを避ける―今こんなタイプが急増している。これは少子化・晩婚化の真の原因か?
目次
第1章 新たな「種」の誕生!?
第2章 回避型愛着と養育要因
第3章 社会の脱愛着化と回避型―近代化、過密化、情報化がもたらしたもの
第4章 回避型の愛情と性生活
第5章 回避型の職業生活と人生
第6章 回避の克服
第7章 愛着を修復する
著者等紹介
岡田尊司[オカダタカシ]
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。現在、岡田クリニック院長(枚方市)。山形大学客員教授。東京大学文学部哲学科中退、京都大学医学部卒、同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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morinokazedayori
100
★★★★★他者と安定した親密な関係を築けるかどうかは、遺伝的要因よりも環境要因が大きいそうだ。適切な時期に親や他者と安心できる関係を築くことができなかった人は、他者との親密な関係を回避する。昨今の個人主義や少子化は、回避型の人が増えたからだという。回避型の人は結婚を避けがちで、もし結婚しても配偶者や子供と親密で協力的な関係を築けない。読みながら暗澹たる気分になったが、本人の自覚や周りの協力で改善できる部分もあるというのが救いだ。非常に興味深く読んだ。親である人・親になる人には特に、是非理解してほしい内容。2016/06/07
藤月はな(灯れ松明の火)
77
人に縛られるのは嫌いで自分の感情すらも他人事。経済的に人に依存している。当て嵌まる部分も多く、あった。読んでいて父への侮蔑や憎悪を強く、思い出し、眠れないこともあった。そして巻末テスト結果は恐れ‐回避型。確かに発言しても父からは八つ当たりやセクハラめいた暴言や「五月蠅い」とか言われる家庭環境で、「知恵おくれ」や「何もできないから」という判断をされ続けてきた。しかし、そう判断された自分が悔しいから変わった。だからこそ、この診断を理由にして立ち止まることなんぞ、絶対にしない。それはそうしてきた私じゃないからだ2014/04/11
あじ
67
「愛着スタイル」とは幼い頃からの母親との関わりで始まり、様々な対人関係を経験する中で確立されます。「回避性」とは親密な関係を避けたり(一人お気楽)、責任や面倒を避けたり(結婚など)、傷つくことや感じる事を避ける傾向を指します。少子化や晩婚化の原因の裏には、広がりつつある愛着の稀薄さがあると著者は見ています。赤ちゃんからの人格形成には、やはり並々ならぬ愛しみと良き環境が必須事項のよう。種田山頭火や課長島耕作も、回避性愛着障害の傾向あり。受け身ではなく攻撃こそ、回避からの最大防御と気づきたい。興味深く読んだ。2015/09/22
ねむねむあくび♪
64
とても興味深く読んだ。回避型のパーソナリティーを持つ人が社会的にどんどん増えていることを、私自身、実感している。だが、人との関わりを煩わしく感じ避けるという回避性の人が、そもそも、そうそう悩みを打ち明けるのだろうか…。例えば学生ならスクールカウンセラー、大人なら行政の窓口や、健保組合のメンタルヘルスの相談窓口などが用意されている。しかし、実際の利用は?その殆どは、筆者の言う不安型のパーソナリティーの人では無いだろうか?回避性が日本社会全体に拡がっていると問題視する筆者からの解決策がもっと読みたかった。2017/09/10
GAKU
46
「絆が希薄な人たち」という副題に惹かれました。何となく自分にも当てはまるのではないかなと思い読んでみると、結構思い当たる事が書いてありました。で巻末の診断テストしてみたら、「安定―回避型:愛着回避の傾向がみられるが、全体には安定したタイプ」なので、まあ問題無しかと一安心?私より不安に感じている方、今の世の中沢山いるとは思うが、ここに書かれている事って多かれ少なかれ、大体の人には当てはまるのではと思うのですよね。それなりに面白かったけれど、なんとなくバーナム効果を利用した本に思えてしまいました。2016/03/14