内容説明
レオナルドとミケランジェロ、ラファエッロ―1504年、フィレンツェで、1516年、ローマで、彼らはどう出会い、何を感じ、何を目指したのか。史実と仮説を織りまぜ、三巨匠たちの最初の邂逅からその後の運命まで、これまでになかった人間ドラマを描く。
目次
第1章 一五〇四年五月、フィレンツェ
第2章 検証 フィレンツェ・ルネサンス
第3章 一五一六年四月、ローマ
第4章 検証 三巨匠の邂逅
第5章 三巨匠の生涯と主要作品
著者等紹介
池上英洋[イケガミヒデヒロ]
1967年広島県生まれ。美術史家。東京造形大学准教授。東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。海外での研究活動の後、恵泉女学園大学准教授、國學院大學准教授を経て現職。専門はイタリアを中心とした西洋美術史・文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
130
イタリアの3人の巨匠がどこかで出会っていて、というifの世界ですが史実を織り交ぜた現実性もあり読んでいて楽しくなります。ダ・ヴィンチとミケランジェロの対決が行われていたかと思うと興味が増します。ラッファエロもそれに絡んでということでこの三者の作品などが新書ながらカラーで収められていて非常に参考になります。2016/07/17
流之助
24
ところどころノンフィクションが挟まれている構成。三巨匠ってそれぞれを主人公として描かれる物語は多く見るんだけど、三人がどんなふうに係わりあっていたのか、年齢的な意味でも、手がけていた作品の状況についても併せて比較しつつ書かれているところが分かりやすく感じた。ラファエロの天才ぶりがカッコイイ。何となく私はダ・ヴィンチ→ラファエロ→ミケランジェロの順で好きかなぁ。2019/11/01
つーこ
17
同時代に生きたレオナルド、ミケランジェロ、ラファエロの邂逅の話。年齢は違うけれでも、同じ絵画を志す者同士、複雑な感情が色々とあったと思うので、実際はどんな話をしていたのかな〜とか想像して止みません。実現しなかった五百人広間の『世紀の対決』やレオナルドの最後の審判にも想いを馳せてしまいますね。2014/02/12
白義
16
ルネサンスを知る人なら誰もが知る三巨匠、彼らが同じ街に集まっていた時期が二度あった。ということは、そこで彼らの交流もあったのかもしれない。そんな歴史の夢想を小説形式で書きながら、同時にその小説パートに説得力をもたせる歴史的な仮説、検証パートも置くドキュメンタリー番組みたいな内容。小説部分は学者の手によるものと考えると十分以上にこなれているのだけれど、正直どこまでが確定で未確定なのかごっちゃになったので検証パートだけで良かった気もする。とはいえ当時の背景と三巨匠の伝記も大まかに知れる優れた内容の啓蒙書である2018/12/18
キムチ
13
筆者は美術史家 3巨匠の人間面を掘り下げるべく、フィクション的技法(会話等)を挿入している。微妙に世代がずれているが、接触する場面ではこんな会話があったかもと思うと些か押しつけがましいが面白い。 どう考えても完璧に天才の3人が揃えた様に子供時代に母を亡くしている。パトロンとの相克に苦しむレオナルド、サンピエトロの造営主任を無償で完成させ、89歳という長寿を栄光のうちに終わったミケランジェロ。温和で知的ながらモテモテの色男であったラファエロ・・駆け足での比較美術史はコンパクトながらそこそこ。2013/10/17