内容説明
だいじなことは、役にたたない。そして一見、役にたっているようにみえるものも、ひと皮むけば役たたず。役にたつことばかりしていると、暮らしも人も、痩せていく―。古風な下町感覚の文章を書きファンの多いエッセイストで、ここ最近は小説家としても頭角を現している石田千が、日常のなかで綴った「役たたず」の視点からの風景。二年あまりにわたる連載の途中では、大震災が起き、そのときの空気感も文章としてリアルに切り取られている。相撲好き、競馬好き、ビール好きの「町内一のへそまげちゃん」が、だいじにしたいもの。へなちょこまじめ日常記。
目次
1 やちゃくちゃない日々(三段めの混沌;忘れて候;オスの乳首、メスのほくろ ほか)
2 手足、ぶらぶら(夏の日記;おはらい箱と、たからの山;絵ごころ文ごころ ほか)
3 役に座す(またたきと松明;あのひと;さよならポンプ ほか)
著者等紹介
石田千[イシダセン]
1968年福島県生まれ、東京都育ち。エッセイスト、小説家。國學院大學文学部卒。2001年、「大踏切書店のこと」で第1回古本小説大賞を受賞。2011年、「あめりかむら」が第145回芥川賞候補、2012年、「きなりの雲」が第146回芥川賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
110
私の大好きな石田千さんのエッセイ集。何気ない普通の日々を慈しみながら生活している様子が伝わってくる。気取りのない下町の感覚も素晴らしい。感覚の鋭い人で、石田さんの筆にかかると、普通の片付けが何か詩的な出来事として表現される。楽しく読めたのが、やや説教くさいところが残念。それでもこの詩的でリズミカルな文章は読む価値があると思う。2015/02/11
こかげ*ゆるゆる
29
エッセイ好きです♪「役立たず、されど友あり、ビールあり」帯の川柳で手に取りました。実際はマーケットプレイス1円セールでしたがwとってもおもしろくて千様ファンになりました(^v^)飲めないけど行きつけの飲み屋さんや銭湯とか、たくさんあったらいいなあって◎5才から渋谷が遊び場だった千様ならではですね!!お友達になりたい(≧▽≦)芥川賞候補の小説家さんでもいらっしゃるので、小説も読みたいです(^^)/*どんなにがんばっても役立たずになれっこないってこと、ユーモアたっぷりに教えていただきました(●^o^●)2014/09/21
吾亦紅
27
千さんが光文社新書?と訝しく思いながら読み始めたが、何だやっぱりいつもの千さんだ、と安心した。「役に立とう」と力んで、カチカチの頭と体で意気込むよりも、役に立たない、不甲斐ない自分を宥め、へそまがりの曲がりきったねじをひと巻き緩めてみる、そんなやり過ごし方に共感する。『役立たず力』とか『役に立たない人生術』などというタイトルをつけないのも、らしくていいなあと思う。『役たたず、』の「、」に千さんらしい味付けを感じる。2022/06/23
チェアー
12
踏切。腰痛。飲酒。葬儀。そして一人。人生なんて役にたたないことが99%。それを愛おしく思えるか、めんどくさくて邪魔だと思うか、それで人生の感じ方はずいぶん変わる。 ビリー・ボブ・ソーントンを一日かけて思い出す話はとてもすてき。 2018/11/13
橘
8
いいなぁ、この空気。好きです。軽々としていて軽すぎず、世を愁いたりもするけど沈みすぎない。ネガティブもポジティブもどこ吹く風…下町の人ってこうなのかなぁと思わされます。説教くさくなく、人に言うというより自分の気持ちを確かめるみたいな文章に、こちらの気持ちもちょっとシャンとします。「いまという時間に過信している」という言葉、自省するとミニマリストよりも健康がこれに当てはまるのですが、災害対策もそう。役に立たないものなんてないので、この本も役に立っています。気負わずに読めるけど背筋が伸びるところもあります。2024/12/10
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