内容説明
精神科医として、大学教授として、テレビや雑誌など様々なメディアで活発に発言する存在として、香山リカは多面的な活動を続けている。だが、その素顔については、意外に知られていないのではないだろうか。幼少時代、上京、受験失敗、就職、仕事、「香山リカ誕生秘話」、そして恋愛・結婚、老い・別れまで。いま初めて語られる、その知られざる半生。
目次
第1章 原風景―父と母からの影響
第2章 受験失敗―入口と出口はちがう
第3章 就職―パンのために働く大切さ
第4章 仕事―替えのきく存在でいい
第5章 恋愛・結婚―自分を見失うほどハマらない
第6章 老い・別れ―死とどう向き合うか
著者等紹介
香山リカ[カヤマリカ]
1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。精神科医、立教大学現代心理学部教授。豊富な臨床経験を活かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する
鈴木利宗[スズキトシムネ]
1972年静岡市生まれ。早稲田大学在学中に応援部主将(応援団長)を務める。卒業後、スポーツクラブのトレーナー、警備員など様々な職種を経て、2000年よりルポライターに。「女性自身」の人物ドキュメンタリー“シリーズ人間”をはじめ、各週刊誌やスポーツ誌などで執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
14
親の望む方向に子は育たない(32頁)。役場を辞めて僕は大学院に行ったんで。ま、親不孝者である。しかし、誰の人生でもなく自分の人生なのだから、迷いもない安定を求める若者ではなかったのは確かだ。結果的に苦境に立つが、それは自己責任と思っている。東大京大出ても高学歴ワーキングプア(46頁)はそのとおりだと思う。20歳前後で人生を消耗してしまう者もいるのだから。親は必ずしも、子に感謝されない(150頁~)。これもあるな。父親にはもう言う言葉もない。外面がいいが、家では別人格だから。香山先生には人生相談してみたい。2013/09/11
Koki Miyachi
7
精神科医で売れっ子コメンテーター、評論家としても知られる筆者の半生がルポ形式でまとめられた。「逃げ場」をもって「だましだまし」生きる人生だったという。本人いわく「大きな病気もせず、これといって目立った業績やドラマもなく、子どもも産まず、ダラダラ仕事をしながらこの年齢に」。父から学んだ物事の裏を読み解くという根っこがあって、現在の独特な立ち位置に繋がっていったようだ。うまく自分と折り合いをつけて、気負わず淡々と生きる。それを格好つけずにさらりと見せてしまう。こんな男前な生き方、いいですね。2015/10/12
へいほー
7
「しがみつかない生き方」でなるほどと思ったけど、考えたらこの人もある意味成功者なんだよね。「だましだまし生きてきました」って言いながら、きっとこの人はうまいことバランスとって生きてきたんですよね。「そんなバランス感覚の持ち主であるからこそ今の生き方が悪くないって思えるのかな?」って、ひねくれたことを考えたりして……2014/07/16
ひみーり
4
タイトル通りな本だった、ゆるーい感じ(良い意味で)2022/10/16
豆ぽち
4
「そこに行ったら、私生活を引きずって暗い顔していられない、というぐらいのむしろ疎遠な人たちの集まりの場も大事です。」狭く深い付き合いを望むわたしには、衝撃かつ納得のいく一文だった。大したドラマがなくても他人の半生を読むのは楽しい。たしかに香山さんが謙遜するように波瀾万丈な人生ではないような気もするけど、人それぞれ悩みや不安を抱えて生きているものなんだと思った。目の前を通り過ぎただけの赤の他人も、日々を精一杯生きている大事な人間なんだと、そう感じた。2012/03/28