内容説明
捕って、屠って、感謝して、頂く。映画『THE COVE』が描かなかった真実。イルカ追い込み漁船に何度も便乗し、「おいちゃん」たちと15年間も交流してきた動物行動学者の“体験的捕鯨論”。
目次
イルカ追い込み漁(沖でのこと;浜でのこと)
太地発、鯨と人の400年史―古式捕鯨末裔譚
イルカを飼うのは「かわいそう」か?
捕鯨業界のこれから
鯨を食べるということ
著者等紹介
関口雄祐[セキグチユウスケ]
1973年千葉県生まれ。千葉商科大学専任講師。1996~2000年、沿岸小型捕鯨担当の水産庁調査員(非常勤)として定期的に太地に滞在。それ以来2003年まで、追い込み漁の経験と行動観察を兼ねて漁船に便乗。その後も、年に1~2度、太地を訪問し交流を続けている。本業は睡眠研究。東京工業大学生命理工学部卒、同大学院博士課程修了、博士(理学)。東京医科歯科大学生体材料工学研究所特別研究員(JSPS特別研究員PD)などを経て2008年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひお
21
捕鯨は数ある文化の一側面として多数の文化として存在する。 捕鯨は日本の文化ではなく捕鯨文化をもつのが日本。 神でもそれらを与えてくれたものにでもなく、 食材それそのものに畏敬の念をもつ日本。 欧米諸国との考え方、価値観の違いがよく解る一冊でした。 食べる方は別に強要しないんだよねぇ。 自分達が食べたいから獲る別に殺したいから獲るわけでも 無理やり誰かに食べさせる為でもなく食文化の一つとしての捕鯨。 捕鯨に鯨漁に対してではなく反捕鯨団体の妨害をわかりやすく 批判してくれてるのも良いと思う。2011/11/26
こぺたろう
10
5年ぶりくらいに再読。著者は鯨類追込網漁や、小型捕鯨業(現在の基地式捕鯨業)に関わる仕事をされており、太地町に滞在しておられました。その時のルポが本書です。個人的には、命を奪う行為は、感じ方に差はあれど、何でも残酷だと思います。でも、自分が生きていく上では避けて通れないので、イルカ漁を否定する気にはなれません。美味しいイルカやクジラは、本当に美味しい。2021/04/10
こぺたろう
9
頭の整理をするために、改めて再読。漁業は商業活動。許可されたイルカ漁業を営んで生計を立てることは当然のこと。需要がなくなって採算が合わなくなり自発的に廃業したり、資源管理などの観点から国が認めないとなれば、イルカ漁はなくなるかもしれません。そうでない限りは、合法なものだと思います。2021/08/08
Humbaba
9
文化に優劣はない。だからこそ、自分の文化を押し付けることも、無比範囲それを受け入れることもしない。それこそが理想的なつきあいかたである。しかし、自分が食べないだけでなく、他者に食べないことを強制する人々もいる。没交渉にできない以上、相手の批判に対してそれが根拠のないものだと証明していく以外の方法はない。2013/10/14
たもん
4
イルカ追い込み漁の実態が漁師側の立場から詳細に説明されている。歴史や漁の方法の記述などよくわかったが、捕鯨がそもそもどのようにあるべきか、という論の部分が感情的で乱暴にも感じる。鯨を食べることに肯定的な自分は同意するが、捕鯨反対派のヒトはこれじゃ納得しないだろうなあ。2010/09/07