内容説明
巨人がV9を達成できたのは、王貞治・長嶋茂雄のON砲が打ったからだ、との意見は根強い。しかし、二〇〇八年の横浜ベイスターズは、本塁打王と首位打者を輩出してもリーグ最下位を余儀なくされた。ふたりの最強打者が同一チームにそろうだけでは勝てないのだ。であるなら、相手よりひとつでも多く白星を重ねて、リーグ最高勝率を収めるためには、ONが長打を放つにも打ち方があったはずであり、ONの活躍以外にも何か必勝法があったはずである。それはどんなものだったのか?V9固有のものなのか、それとも野球普遍の法則なのか?「奇跡」とまだ呼ばれたV9巨人の全スコアを現代の視点から詳細分析。川上監督が目指した“野球”の実像に迫る。
目次
はじめに 9年間の全スコアを史上初分析
プロ野球の近代化を図った「川上巨人軍」
川上野球の真髄はどこにあるか?
数字で見る常勝球団
勝利の普遍法則は「初回リード」
1番打者、柴田勲と高田繁
「粘る2番」―土井正三が起用された理由
王貞治と長嶋茂雄
ON砲よりNO砲のほうが勝率は高い
ONのホームランは勝利に貢献したか?〔ほか〕
著者等紹介
小野俊哉[オノトシヤ]
1961年岡山県生まれ。早稲田大学卒業後、味の素、住友金属工業の技術職、営業職を経て、2003年にスポーツ・アクセス社を設立。スポーツの記録と選手の活躍を分析し、各メディア、メジャー球団に提供している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エリナ松岡
6
ただの昔話じゃないか、と思える部分もありますが、面白く読めました。近年のデータ重視の野球の見方を有名なV9時代の巨人を例にして解説しているような感じでしょうか?出塁率の重要性なんかも出てくるので「マネーボール」に通じるものがあると思います。2016/02/01
シエスタ@多摩
4
あの野村克也氏もV9時代の川上野球そしてオーダーを理想としている。ONの勝負強さを検証している点もさることながら、柴田・土井・高田・黒江といった脇を固める選手たちの貢献を、あらゆる数値の面から検証している点がすごい。そして、本書を読み進めていくにつれ、これらの個性豊かな選手たちを「勝つ」という目的のために有機的に結合させ、類まれなる常勝チームを出現させた川上野球の本質が垣間見えてくる。「ONがいれば誰が監督をやっても勝てる」が嘘であることを納得できる良書だと思う。2011/04/23
きよっすいー@異端者
3
V9時代は「誰がやっても優勝できる」と言われていることが本当かどうか解る本です。勝つ信念と行動なしには勝てない、この本からはっきり言えることではないでしょうか。2011/08/30
YOS1968
3
ONの卓越した活躍以外に川上野球が「勝つ」ことにこだわり続けた記録を丹念に解析している。2010/01/02
tak
2
勝つためのこだわりに脱帽2010/01/21