光文社新書<br> カラヤンがクラシックを殺した

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光文社新書
カラヤンがクラシックを殺した

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  • サイズ 新書判/ページ数 286p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334034832
  • NDC分類 762.8
  • Cコード C0273

内容説明

20世紀を代表する指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤン。その流麗な「美」に魅せられた人は少なくないだろう。しかし、「カラヤン以後」、音楽の風景は一変し、何かが決定的に失われてしまったことに気づいているだろうか。かつて音楽を聴く聴衆は、その成り立ちに息を潜めるがごとく、宗教儀式のように音楽を体験し、享受した。そこには特別な「意味」が存在した―。本書は、カラヤンの音楽と、それを鋭く断罪する二人の音楽家、オットー・クレンペラーとヘルベルト・ケーゲルの、絶望や狂気、矛盾や破滅が内在する『危険な音楽』を通して、20世紀から現代までを覆う「負の遺産」を問い直し、音楽、芸術、そして人間存在を考える。

目次

第1章 音楽の悪魔―プロレゴーメナ(死後20年目のブーム;音楽の言語化 ほか)
第2章 流線型の美学―ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)(『大地の歌』;人口楽園 ほか)
第3章 孤高の絶対音楽―オットー・クレンペラー(1885~1973)(満身創痍の鉄人;アンチ・モラリスト ほか)
第4章 絶望の音楽―ヘルベルト・ケーゲル(1920~1990)(自殺したくなる音楽;途絶えたキャリア ほか)

著者等紹介

宮下誠[ミヤシタマコト]
1961年東京都生まれ。鎌倉在住。國學院大学文学部教授。早稲田大学卒業。スイス国立バーゼル大学哲学博士。専攻は20世紀西洋美術史、美術史学史、画像解釈学、一般芸術学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

巨峰

36
他の人も書いているけど、批評になってない。主観的な思い入れの吐露にすぎない気がする。叩きやすいカラヤンを叩いているだけな気がする。カラヤンはこの作曲家はよくて、この作曲家は駄目、ってところは面白かったけど、それが正しいかどうかわかる知識は僕にはありません。でも、本当は筆者はカラヤンが好きな気がするな。2009/07/05

キムチ27

10
クラシックの啓蒙はカラヤンによってと云う印象の私。かなり過激なタイトルだからこそ読んでみる。 社会人類学の教授にしては主観が強すぎ。芸術自体、主観が色濃く入るものゆえに、こうぶった切るのは如何なものか。 ポストを巡って敗北したクレンベラ-を取り上げ、「20世紀の損失」と断定している。ふ~~ん、凡人には納得しかねるが拝金主義者とか小人とまでいわれるとねぇ~ いい読後感は持てなかった。2013/06/24

牧神の午後

5
すごくイヤな感じ。好みは筆者と似ているところもあって、クレンペラーの復活、マラ7,ケーゲルのタコ5とか、もっと言ってしまえばタイトルでウリにしているカラヤンへの悪意ですら、筆者の印象・評価に同意なんだけど、如何せん印象批評以前の、個人的な感覚をさも普遍化できるような書き振りが、もう読んでいて気持ち悪い。それに、カラヤンと対峙せしめるのにクレンペラーとケーゲルなのか?というのもチョット違うような気がする。たとえば、カラヤンと表面は同じ完璧主義で出てくる音楽真逆のトスカニーニ、完全真逆のレニー、或いはチェリ。2020/08/27

さえきかずひこ

5
時代錯誤と承知の上で、ポストモダン批評を好まない筆者により、あえて徹底した印象批評が展開される。カラヤンがポップで薄っぺらであることがひたすら憎いのかと思い読み進めていくとその"表面的な流麗さ"に愛憎半ばしている感じもあり、微笑ましい。しかしひたすら大仰な文体にはくたびれる。新書というメディアの特性を捉え損ねているのではないか。カラヤンというアイコンを用いた大衆批判としては構成にムラがあり、気分は分かるが、主観的過ぎて退屈な一冊。次は批評に特化した入門書でも書いたらどうか。2009/03/10

蘭奢待

4
★★★☆☆ よくあるアンチカラヤン本かと思い手に取るがさにあらず。カラヤンの美しい音楽に陶酔する一方で、戦争も止まず、貧困、格差の広がる悲惨な現代国際社会において、美しいだけの癒しの音楽は罪だという。クレンペラー、ケーゲルの美しく無いが、心の叫びの音楽こそ貴重だという。最後までどうも理解しがたい文章であった。2017/11/03

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