光文社新書<br> アンベードカルの生涯

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光文社新書
アンベードカルの生涯

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  • サイズ 新書判/ページ数 348p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334032951
  • NDC分類 289.2
  • Cコード C0223

内容説明

「もし私が、私がそこに生れ育った階級が呻吟する、忌わしい奴隷制と非人間的不正をやっつけることができなかったら、頭に弾丸をぶちこんで死んでみせる」この国、いや外国においてすら、アンベードカルほど波瀾に富み、刺激的でロマンチックな人間は稀であろう。牛糞にまみれた不可触民の子として生れ、不治の病のように忌み嫌われた少年時代を送り、床屋、宿屋、寄宿舎、車、寺院、役所といった社会の総てから疎外され、飲水、食物すら拒否される人生を歩まされ、やがて世界的最高学府で学位を取りながら、その一歩一歩を徒手空拳、血と汗を流し一つ一つ取ってゆかねばならなかった。六五歳という短い生涯の中で、これほどまで多才な目覚ましい働きと学識を誇り得たということは、現代社会では恐らく類のない出来事であろう。『ブッダとそのダンマ』に賭けた仏教再生への凄絶な人生。

目次

二五〇〇年
幼年、青年時代
自立
時の人
奴隷制に抗して
独立宣言
輝ける星
土地、労働、教育
世界世論の審判
ガンジーとの闘い〔ほか〕

著者等紹介

キール,ダナンジャイ[キール,ダナンジャイ]
1913~1984年。インド屈指の伝記作家。主な著書の中に、ヴィール・サヴァルカル、ティラク、マハトマ・ガンジー、ジョティマ・プーレなど、近代インド社会に大きな影響を与えた人物をはじめ、優れた宗教家などを網羅している。1971年、インド政府は大統領の手によってパドマ・プジャン(蓮華飾賞)を授与し、その功績を称えた

山際素男[ヤマギワモトオ]
1929年生まれ。古代インドの大叙事詩『マハーバーラタ』の翻訳で第34回日本翻訳出版文化賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

すしな

21
079-22.ヒンズー教カーストの不可触民出身でインド憲法の草案を作成した人の伝記です。不可触民はヒンズー教の別の階層の人たちと遺伝子的にも有意差がないのに、最下層というだけで、人種差別よりも苛烈な差別を受けているようです。そういうのを聞くと宗教って何のためにあるんだろうなと考えさせられます。インドには神話と輪廻しかないというのを聞いたことがありますが、彼が一石を投じでから、インドの一般市民も他の国の文化も知ることのできる世の中にもなってきたと思うので、徐々にでもよくなっていてほしいなと思いました。 2022/06/21

ひろ☆

17
生まれながら身分が永久に決まっていて、身分の買い取りなどでランクが上がることもないインドの不可触民の生活に驚く。アンタッチャブルと言われ、目を合わすのも汚れる存在。水飲み場で自分一人で水を飲むことも許されない。そのようなインドの不可触民の出で、不可触民の自由に立ち上がるアンベードカル。世間に発言、革命を起こすためには、自らが不可触民の代表として、周りから認められる立場に立つことが必要。大学に入り、博士号や弁護士資格を取り、不可触民でもできる、20も年上の有名人ガンジーと徹底的に戦うところも圧巻!2014/09/30

14
不可触民の出身ながら、法務大臣を務め、インド憲法まで制定する波瀾万丈な生涯。不可触民は日本の部落問題よりも更に悪い地位と見受けられる。そんな環境から制度を変えるために行動し、論文を発表し、、、会議派、ガンジーと対立し、彼の底知れない苦労がある。60を過ぎてから仏教徒に改宗したが、もっと早く改宗してしまうことも出来たであろうに、、、2014/09/15

デビっちん

13
同胞を何とかカースト制度から開放し、ヒンズー社会の一員として受け入れさせようと不屈の精神で闘いぬいたアンベードカル博士の伝記。2500年に渡る暗黒の扉は彼によってこじ開けられた。不可触民という下層の階級で生まれ、学校で差別され、ホテル、寄宿舎、役所、寺院などから疎外され、飲水、食物すら拒否されながらも、勉学に励み、世界最高学府の大学で博士号を得た。その高い志と高度な知識に裏付けられた弁論で、遂には法務大臣となりインド憲法の父となり崇めらられるに至った。これほどの人物が教科書にはでてこないんですね。2016/02/04

Machida Hiroshi

11
不可触民制を破棄させたのはガンジーではなく、アンベードカルだという事実に驚きました。自分が生まれたところの非抑圧階級を解放するために人生の全てを捧げ、それを独立インドの最初の憲法制定として成し遂げたのです!最後は仏教に改宗せざるを得なかったのは、カースト制を教義の根本にすえて変えようとしないヒンズーへの深い絶望だったのでしょう。インドに関する世界観がガラリと変わりました!2014/09/10

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