内容説明
従来の古代ギリシア史研究は、文献史学や美術史を出発点とするものが多かった。しかし考古学的手法で迫ると、まったく違った古代ギリシアの人々の姿が見えてくるという。自分の足で遺跡や遺構を訪ね歩き、発掘にもたずさわる新進気鋭のギリシア考古学者が見た、記録に残らない古代ギリシア史。そこには従来の清廉なギリシア市民のイメージとは異なる、人間臭いドラマがあった―。古代ギリシアに生きていた有名・無名の人物7人が、問わず語りに紡ぎ出す物語を通して読む、新しいギリシア古代史の世界。
目次
第1章 ナイルを遡ったギリシア人―ロドス人の傭兵テレフォスの物語
第2章 民主政治をつくるために抜かれた剣―「ペプロスの少女」の物語
第3章 オリンピックでの優勝をめざして―ボクシング選手テアゲネスの物語
第4章 若者はなぜアテネ人殺害犯にされたのか―ミュティレネ人エウクシテオスの物語
第5章 ソクラテス裁判の日―英霊の父となったアテネ市民の物語
第6章 「姦通事件」の二つの顔―エウフィレトスとその妻の物語
第7章 ローマへのはるかな道―ギリシア出身の歴史家ポリュビオスの物語
著者等紹介
周藤芳幸[ストウヨシユキ]
1962年生まれ。神奈川県横須賀市出身。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、名古屋大学大学院文学研究科助教授。専門はギリシア考古学、東地中海文化交流史。フィールドからの発想によって、古代ギリシア史研究に新風を吹き込んでいる
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感想・レビュー
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mstr_kk
4
体系的な整理とは違いますが、古代ギリシアを擬似体感できるという点で、とても勉強になり、面白い本でした。2024/12/09
このこねこ@年間500冊の乱読家
4
⭐⭐⭐⭐ 資料に基づき古代ギリシア人の風俗を7篇の小説として書き上げた一冊。 篇ごとにここは創作、ここは事実、と解説してくれるのがすごく良い! このスタイルの作品ぜひ色んな分野で作って欲しいなぁ。 楽しく歴史を学べました。2020/09/01
Mentyu
3
古代ギリシアを専門とする著者が、あえて歴史小説の体裁で古代ギリシアに生きた人々を描き出そうとした意欲作。小説とは言うものの、立脚した資料や参考文献、そして創作部分については説明が入っており、学術的関心を抱いた読者への入門書的な性格も有している。古代ギリシアについて無知な自分にとっても読みやすく、なおかつ歴史の概観を知ることができた良い本だった。2018/04/03
naoto
2
古代ギリシャの7つのエピソードを物語形式にして紹介。歴史の本も、こういう手法があっていいのかも、と思う。ちゃんとその後の解説で、どこまでは史料にあってどこからが創作だ、と明らかにしてるし。最後のスキピオの家庭教師?になったポリュビオスの話がいいな。ポリュビオスの「歴史」、読んでみたい。2012/11/30
ゆき
1
知識ゼロでも古代ギリシアの世界を楽しめる一冊。物語と解説というスタイルも分かりやすくて良かった。2016/11/01
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- 和書
- 時のアラベスク 角川文庫




