内容説明
明治期から太平洋戦争期にかけて、軍隊にまつわる「決まり文句」の数々を収録した軍隊「マニュアル」とも呼ぶべき本が多数出版された。これらは、出征する兵士が住んでいる村の幹部たちが行った激励の演説、それに応えて彼ら入営者が行う挨拶などを収録したもので、当時の書店でふつうに売られていた。この軍隊「マニュアル」を読むと、軍隊という巨大な存在に対する当時の人々の迷いや不安、反抗心といった心のひだが透けて見える。本書は、徴兵・戦争という巨大な経験に、近代の人々がどう向かい合ってきたのかを、建前と本音の両面から、ひとつの通史として描く試みである。
目次
第1章 軍隊「マニュアル」の出現―明治一〇年代~日清戦争期(徴兵令の通俗解説書;教科書による兵士教育 ほか)
第2章 発達・多様化する「マニュアル」―日露戦争期(英露に対する敵愾心の昂揚;朝鮮人に対する根深い猜疑心 ほか)
第3章 平和な時代の「マニュアル」―日露戦後~大正期(なぜロシアに勝てたのか;「捕虜になるくらいなら死ね」 ほか)
第4章 どろ沼の戦争と「マニュアル」―日中・太平洋戦争期(なぜアメリカと戦争をしなければならないのか;戦争に勝つ見込みはどう説明されていたのか ほか)
著者等紹介
一ノ瀬俊也[イチノセトシヤ]
1971年福岡県生まれ。98年九州大学大学院比較社会文化研究科博士後期課程中退。博士(比較社会文化)。現在、人間文化研究機構・国立歴史民俗博物館助手
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