内容説明
私たちの身の回りには漢字があふれている。千九百四十五字から構成される常用漢字プラスαの数を使いこなせないと、日常的な日本語の読み書きにも苦労する。一方、漢字の数は全部で八万以上もあるとされる。「漢字の海」に対して、私たちはいったいどのようにつきあえばいいのか、本書を読んで下さる方々といっしょに考えてみたい。
目次
第1章 知っててエラいか?難字・奇字
第2章 誰知るや、漢字の総数
第3章 『中華字海』―八万五千五百六十八字の“海”を泳ぐ
第4章 漢字が生まれるメカニズム
第5章 部首法、痛し痒し
第6章 異体字―混乱の“張本人”
著者等紹介
阿辻哲次[アツジテツジ]
1951年、大阪市生まれ。京都大学文学部卒業、同大学大学院博士課程修了。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は漢字を中心とした中国文字文化史
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感想・レビュー
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西澤 隆
4
「圕」は図書館か(笑)。文字をどう画面に表示させるか時に苦労した身としては、この本が電子書籍として文字化けもなしに実現されていて自分がそれを読んだということが感慨深い。ユニコードを絶え間なく拡張してきたひとたちのコード設計と字形デザインについてのいろんな配慮は凄いな。この本はすこし古い本なのでいわゆる旧JISと新JISでの字形交換が批判されていたりもするけれど逆に言えばその当時と今では文字表記についてのエンジニアの配慮は段違いということだなあ、と。もちろん漢字そのもののたくさんの雑学も楽しんで読みました。2018/12/18
わえ
3
3000年前から存在し、表意文字の中で最も長く使われている漢字の奥深さが分かる本。その歴史を通して作られてきた漢字で、現在でも辞書に載るようなものは8万以上あることを知った。〇(星)や圀(くに)や曌(明と空を縦に並べた漢字で則天武后専用の文字)のような則天文字の話が印象的。その一つ、〇に卍を重ねた月を意味する漢字に目が惹かれ気に入った。冇が有の中身を取って無を意味するというのも面白い。「柿」(かき)と「杮」(こけら)はよく見ると別字だが、言われないとわからない。中国語の簡体字の成り立ちも知ることができた。2018/12/16
遠野
3
「漢字が生まれるメカニズム」の章が一番興味深かった。簡体字の作られ方も載っていたので、中国語の理解などに役立ちそう。やはり漢字は小さい中に濃密なものが詰まっている繭のようで、面白い。2011/07/03
さちこ
2
読む前は、漠然として漢字に関心があったのと、難しいからといって安易に変えていくことに少々反感を持っていた、その程度だった。 本書を読んで、知識不足というより、かなりの誤解・勘違いをしていたようで恥ずかしく思った。 ただ読み進めるにしたがって、 何が正しくて間違っているのかということではないこと。 また漢字の歴史は、中国と日本では違うこと。 繁体字と簡体字のこと。 余計にわからなくなった(笑)奥が深い。 漢字は、読めなくても眺めているだけで少し楽しいですけれど。2007/09/11
たつるん
2
様々な種類の感じについて広く書かれた本。 『中華字海』には85568文字もの漢字が収録されているとか、文字は文と字でそれぞれ異なる意味を持つとか、眼から鱗だった。2018/03/22