内容説明
上山公一郎の惨殺写真を見たとき、修羅場には馴れている女探偵・元織緋佐子でさえ、思わず目をそむけた。これが東大医学部名誉教授・文化勲章受章の威厳に満ちた老紳士なのか。―まるで仁王像のように目を見開き顔を血で赤黒く染めている。しかも千手観音像のように十数本の竹槍で突き刺されていた。さらに上山家では長男の公人も自殺、孫の高校生唯人には家出癖がある。呪われた一家には、どんな秘密が隠されているのか?周到なトリックと衝撃の大どんでん返し。未婚の母でキャリア・ウーマンの緋佐子が大活躍する、著者会心の書下ろし新・探偵小説登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風祭
2
面白かった!緋佐子さんが仕事に関してアグレッシブなのに、娘に関してはヤキモキしているのがリアリティがあって面白い。納屋に閉じ込められて脱出するところは、素直にすごいな~と思いました。2022/10/26
永田 誠治
1
なんの気なしに読んでみたが、面白い!事実上の一気読み。たしかに直木賞や乱歩賞などには選ばれないかもしれないけど、初めて読んだ自分にとって、かなり評価が高い作品でした。前書きにあるとおり、ウォーショースキーに感化されて書いたようですが、まず主人公が未婚の母の女探偵にとても感情移入させられる。犯人との戦いだけでなく、子育てとも戦わなくてはならない大変さ。事件も平家の落人伝説を絡ませ、浮世離れした血族の因縁をテーマにしていて夢中になってしまう。ただタイトルの意味が最後まで分からなかったのは自分の読解力不足か。2023/09/11