内容説明
MM重工研究開発2課に所属し、人工知能ロボットの開発を手がける末永拓也は、将来を嘱望され、オーナーの末娘、仁科星子の婿養子候補に挙げられていた。だが、その陰では恋人、雨宮康子の妊娠に困惑していた。そんな矢先、拓也は同僚の橋本と共に、星子の腹違いの兄、直樹から、康子にたいする共同殺人計画を打ち明けられる。康子はこの三人と同時に関係を持っていたのだった。大阪―名古屋―東京を結ぶ完全犯罪殺人リレーは、計画どおり進行していったが…衝撃!死体は何と…。さらに、第二の殺人、拓也も何者かに狙われる。乱歩賞作家の偉才が、新手法“倒叙推理”に挑戦。主人公の屈折した心理を描いた堂々の書下ろし長編推理の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
62
誰でも簡単に人殺しができる世界の話。あ、現代日本もそれに近いかも。先見の明か!?(148/161作)2015/01/30
美登利
31
倒叙形式に工夫をこらした作品とありますが、さすがです。犯行が予めわかっていてそれを過去にさかのぼったりするわけですが、こんなにも、色々な人が怪しくて複雑で悲しい結末のミステリーはなかなかないと思いました。一気に読んでしまいました。ドラマ化されてるのですか、俳優さんの誰がどの配役か気になります。2013/11/14
takaC
23
おそらく6年前に読んだのと同じ図書館本だと思う。2021/02/13
星落秋風五丈原
13
産業機器メーカーで人工知能ロボットの開発に携わる末永拓也が窮地に陥った。妊娠した愛人、雨宮康子が、掻爬を拒んだためである。上昇志向の強い拓也は、オーナになりたいと言う目論見を持っていた。事態の露見は、野望の頓挫を意味する。 そんな中、打開策を見出せない状態に焦りを覚えていた拓也に、意外な提案を持ち掛ける者が現れた。共同作業で康子を殺害しようと言うのである。男達の、完全犯罪殺人リレーがスタートした。1989/12/04
くまんちゅ
11
序章で起こった出来事がどう本編と絡んでくるのか気になりながら読み進めました。真相は最後の最後に明らかに…。末永たちが目論んだ完全犯罪殺人リレー。しかし、計画は思わぬ形で崩れてしまう。真犯人は誰か最後まで考えながら読むも、意外な結末にしてやられました。ある意味皮肉ともいえる結末かも。どちらにしても弓絵が一番気の毒な気がする。2011/06/11