内容説明
ぼくは、おじいちゃんのうちにきている。おじいちゃんと、日の出を見ることになっているんだ。草の上にすわった。雲が、赤くなってきた。「もうすぐだね」ぼくは、息をとめた。
著者等紹介
後路好章[ウシロヨシアキ]
1940年、北海道生まれ。この本だいすきの会会員。乳幼児精神保健学会会員。星美学園短期大学・白鴎大学・明星大学兼任講師。元アリス館編集長
小林ゆき子[コバヤシユキコ]
1977年、東京都生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
139
朝は静かだろう。涼しいだろう。胸いっぱいに吸い込んでごらん。自然と一体になれるよ。空がうっすらと明るくなる。目を瞑ると、虫の音や鳥の声、風の香り、雲の向こうまで聴こえてくるみたい。太陽が雲を下から照らしている。もうすぐさ。暖かさを感じるだろう。一日が始まるんだ。この光が植物や動物、人間の進む力、地球全体を守ってくれているんだ。…明日も丘の上に来よう。一緒に日の出を見よう。平和を願おうね。毎日太陽は昇ってきてくれるんだ。…おじいちゃんの手の温もりと柔らかな空色は、いつまでも少年の心の支えとなることでしょう。2021/10/15
mntmt
21
”朝ともだち”!いいね!2016/03/11
ヒラP@ehon.gohon
8
康介くんがおじいさんと日の出を見にでかけます。 陽が昇る前の風景から、刻一刻と景色が変わっていきます。 それだけの事が、とても神秘的に思えます。 新しい一日に向ける期待と、平和であることの喜びと祈りが伝 わって来ました。 ご来光をおじいちゃんは毎日見ているのでしょう。 子ども向けには地味な気もしますが、早朝の散歩を欠かさない父のことを今度一緒に日の出を見たいと思いました。2015/09/05
猫森
6
夜明けを一人で見た。いつもは窓越しに空が白むのを眺めるだけだったけれど、実際に外に出てみた。待つ時間はひんやりというより、寒かった(秋だから)。私は祖父と日の出を見たことがない。海軍だった祖父は戦争時、敵の攻撃を受けて艦が大破し、海に飛び込み、木片につかまって一昼夜もちこたえ、運よく通りかかった友軍に助けられたという。海の上で待つ間、きっと朝日を見ただろう。暗い海が光に照らされて明るくなっていくのを見て、ほっとした気持ちになったろうか。詮無いことばかり考えた。私は祖父が好きだった。2021/10/22
屋根の下のとり
2
主人公康介がおじいちゃんと日の出を見に行くお話。ただそれだけなんだけど、なんて贅沢な時間なのだろう。朝の静けさ、新鮮な空気に背筋がピンとなる。読みながら、五感が研ぎ澄まされていく。だんだん自分が世界に溶けていく。この世界に生きるもの全てがおひさまを待っている時間、自分もただ静かに呼吸しながら感じていたい。赤くふくれあがるという表現がいい。おひさまが顔を出した時は、私もこの世界の中に立ちおはようと叫んでいた。あたりまえなんだけど、日がのぼるという確かさに安心する。「お日さまは、生きているすべてのものに2024/05/04