内容説明
群馬県にある大胡小学校の映画クラブでは、「いじめ」の映画を作ることになった。撮影は順調に進んでいく。しかし、架空のいじめは、演じていくうちに、現実のように、出演者を苦しめていった―。社会問題にもなっている「いじめ」に、新しい形で取り組んだ、子どもたちの一年間を追う。
目次
第1章 映画クラブができた!
第2章 テーマは「いじめ」
第3章 「いじめ」を徹底的に考えた
第4章 配役を決める
第5章 心にひそむものを見つめて
第6章 エスカレートするいじめ
第7章 学校中に流れた、『絶対だめ』
第8章 映画を完成させたい!
第9章 ナツキ、もどってきて
第10章 中学生になっても友だちでいよう
著者等紹介
今関信子[イマゼキノブコ]
1942年、東京に生まれる。幼稚園教員を経て、創作活動に入る。現在は、児童文学とともに、広く子どもの遊び、文化、生活に関心を持ちながら活動している。日本児童文学者協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マツユキ
12
ノンフィクション好きの娘が借りてきた本を読みました。 群馬県にある小学校の映画クラブに集まった43人は、いじめをテーマに映画を作る事に。 賢く、まっすぐな子供たち。演技でも辛いいじめ。でも、その前に、孤独を怖れる心があるような気がします。いじめでは、心は満たされないのですが。子供たちが一丸となって、映画を完成させたのが、素晴らしい。2021/09/05
りょちみ
10
小学六年生が中心に映画クラブでいじめについての映画を作ったノンフィクション。児童書なのでわかりやすい文章の分、大人には少し物足りなさを感じるかもしれませんが、いろんな配役でいじめに関係する人を演じることの演者の心の迷いや葛藤を感じることができます。役柄であっても「死ね」という言葉を書いたり言ったりすることに抵抗が出てくるし、自分の気持ちとは異なることをしたりされたりすることはとても辛いことだと学べます。この映画も一般の人が見られるようになればいいな。2018/10/07
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
9
2006年、前橋市の大胡小学校で『いじめ』の映画ができました。6年生の仲良し5人の女の子と二人の男の子を中心に、シナリオ作りからスタート。配役も決まり撮影も順調に進む中、架空のいじめによって子どもたちの心が苦しくなります。加害者・被害者・傍観者の気持ちや立場を考え、見事演じ切り映画は完成します。2018/10/05
サラサラココ
6
子どもが、感動ノンフィクション第4期の本を全部読みたいと言って読み始めた。珍しく子どもから、けっこういい本だから読みな、とすすめられた。映画クラブの子どもたちの立場に立って読めたのかも。2023/02/26
Hideki Maeda
1
子どもたちが自分たちでシナリオを考えて映画をつくる壮大な内容です。 また、中身の題材が重いテーマである。でも、演じる者もそれを鑑賞する側も心にグッとくるものがきっとあるのだろう。 大人ですら重いテーマであるのに、子どもたちの行動には本当に頭が下がる思いです。 日常社会でもどこかでよく聞く話では あるので、これに携わった人たちは良く考えてみるべきである。 小学生からこんな貴重な経験ができたのだから、今後の生活にも十分に役立てて欲しいものである。 2024/04/16