内容説明
「あるがまま」のことを「あるがまま」にとらえる―。そこに真実を見出した、道元の仏教思想の原点がある。わかりやすくひもといた“道元入門”。
目次
第1章 なぜ修行しなければならないのか(なぜ修行しなければならないのか;プロとアマ ほか)
第2章 「いま・ここ・われ」を楽しむ(最澄と空海;ユーザーの論理 ほか)
第3章 わが身を心をもはなちわすれる(拈華微笑の公案;一人でも半人でも ほか)
第4章 布施とはむさぼらないこと(八大人覚;渇愛はかぎりなく膨らんでいく ほか)
著者等紹介
ひろさちや[ヒロサチヤ]
昭和11年、大阪府生まれ。宗教評論家。東京大学文学部印度哲学科卒業、同大学院印度哲学専攻博士課程修了。昭和40年から60年まで、気象大学校教授。現在、大正大学客員教授をつとめるかたわら、執筆や講演活動とともに「まんだらの会」を主宰する
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感想・レビュー
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moonanddai
8
道元の思想のさわりに触れる…?「修証一如」「眼横鼻直」「法位に住する」「八大人覚」…。あるがまま、という法華経の世界が見えてきます。何となく思ったのですが、わが浄土教はひたすら往生を願いますが、今をどう生きるか…が、よく見えてこないような気がしています。今の生き方が「諸法実相」、「それでいいのだ」の世界なのでしょうか……。2022/06/17
かず
5
この本、220ページのうち、道元自体のことは1割記載されているかどうかです。「ひろさちやの『法然』を読む」でも、似たような本が書けるかと思います。ほとんどが著者の自論ですので「看板に偽り・・・」のような気がします。が、それはさておき、内容自体には概ね同意します。特に、「幸せを目指して努力するのは自己否定」「宗教は原理主義であり、政治とは両立しない」「今の日本の政治はおかしい」「それでも、宗教は『あるべき姿』を示す意味で重要」「進歩が善とは言えない」「人間の商品化」「奴隷になるな」に共感しました。2015/06/27
マウンテンゴリラ
1
これまでに読んだ仏教書の中で、もっとも分かりやすいといっても過言ではない。しかも、難解とされる道元とその主著である、正法眼蔵を細部の解説に止まらず、仏教という大きな枠組みの中で、わかりやすく提示されたところに感銘を受けた。特に、八大人覚の中で提示される「少欲」、「知足」、「楽寂静」、「修智慧」、「不戯論」といった言葉は、現代に生きる我々にこそ、最も見直され、噛み締められるべき言葉と感じられた。ただ仏教を分かりやすく解説するという視点に留まらず、現代的価値観に縛られない、→(2)2022/01/26
sakase
1
一歩前進、二歩後退。歩みそのものが究極。あるがままを受け入れる。問題があるから生きられる。布施とはむさぼらないこと。人生の価値は不変。あなたと私の価値は同じ。2011/08/03
リカルド
0
若き日の道元は思ったそうだ。「すべての人に仏性が備わっているなら、修行など必要ないではないか」と。仏教の答えは、「仏になれる(なろうとする)からこそ修行をするのだ」。道元はこの答えに納得できなかったらしい。道元の到達した答えは「人は皆、仏性を備えているということを、修行が体現するのだ」。…宗教者はやはり暇なのだろうか。