出版社内容情報
直木賞作家の半村良が初めて手掛け、宮部みゆきに深い影響を与えた人情時代ミステリーの傑作! 感涙必至の一冊。
内容説明
本所六間堀で夜鷹蕎麦屋の老爺が斬り殺された。銀座町役人の岩瀬家に長く仕えてきた平吉は、この殺人の背後に岩瀬家がかかわっているのではないかという疑念を抱き、事件を追う。そして辿りついた驚愕の真相とは!?半村良が初めて手掛けた人情時代ミステリーの傑作!1992年廣済堂出版刊行の単行本の文庫化。
著者等紹介
半村良[ハンムラリョウ]
1933年、東京生まれ。都立両国高校卒業後、30近い職業を経験。その後、広告代理店に勤務のかたわらSFの創作を始める。73年『産霊山秘録』で第1回泉鏡花文学賞受賞。75年『雨やどり』で第72回直木賞受賞。88年『岬一郎の抵抗』で第9回日本SF大賞受賞。93年『かかし長屋』で第6回柴田錬三郎賞受賞。2002年肺炎のため逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
93
半村さんの「かかし長屋」に引き続いての時代人情小説ものです。最初は連作短篇のような気もしましたがそれは人物紹介のような感じで長編の表題作の「どぶどろ」の前振りでした。夜鷹蕎麦屋のじいさんが殺されてしまい、それを追う主人公が様々な疑問を解決していこうとしますが、それがおわりになったとおもきや・・・・。やるせない感じでした。2024/02/24
ドナルド@灯れ松明の火
17
半村良の初の時代小説。短編が続くが話が繋がっていき「この字」が岡っ引きもどきの探索を始め、大名同士の暗闘に気づき巻き込まれていく。半村さんの時代小説は初めて書いたにしてはよく書かれている。2021/02/09
harukawani
7
予備知識なしで読んでほしい傑作。震えた。ネタバレはしないけど、詳しい感想はコメント欄で。2017/09/05
レフ
1
寛政の改革の頃。"え、これで話おわり?"という短編が続いたと思ってたら、続く長編のプロローグだったのか。 本編で山東京伝やら出てくる。プロレタリア時代小説。2024/12/22
xi_124C41
1
短編を積み重ねて、それらが全体でまとまって一大長編になるという構想はすごいと思うのだが、いまひとつ未消化な気がする。前半の各短編はそれぞれ結構な人情噺で、半村良の面目躍如といったところなのだが、これらが結びついて一つのテーマに流れ込むところがどうもこなれていない。推理小説としては勿論落第であるし、半村良としては実験作という位置づけになるのではなかろうか。2023/11/04