内容説明
国をしくじり、女にふられ、財布を掏られて途方にくれる不遇の脱藩浪人・楠岡平馬は空腹に耐えかね行き倒れ寸前で内藤新宿に辿り着く。畳み掛ける不幸に「人間辞めたくなっちゃった」と呟いたその時、目の前に今にも朽ちそうな旅篭が現れた!そこは百年生きた大土竜「ムグラ様」が守る、妖怪たちの集まる宿だった。宿を狙うモノノケから幼い女将・お熊ちゃんを守り、一宿一飯の恩を返そうとする平馬だったが…。個性的なキャラクターと多彩なモノノケが登場する、のほほんモノノケ小説。
著者等紹介
澤見彰[サワミアキ]
1978年、埼玉県生まれ。大学で日本民俗学を研究のかたわら、作家をこころざして絵や文章の勉強をつづける。卒業後、田中芳樹著作権管理団体・らいとすたっふ(小説塾)に入塾。光文社KAPPA・ONE『時を編む者』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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飛鳥
24
人に頼られると嫌と言えないお人好しの浪人平馬。駆け落ちと噂される脱藩をしながらも、相手の女性に財布は取られるは振られるはの散々な目に遭い、行き倒れていたところを妖怪の大モグラの住む旅籠にひょんな事から住み込むことに。そこの12歳の美少女主人に用心棒として雇われる。お客さんは主に妖怪の類の土竜屋の周りで起きる妖怪が絡んだ事件の解決も嫌とは言えない性格から引き受けゴタゴタに巻き込まれる平馬とモグラのムグラさまや可愛い主人のお熊ちゃんなどユーモラスな登場人物たちで読み易かったです。2017/11/04
まつけん
8
地元縁の作家さんということで手にとった一冊。時代は江戸、甲州道中の第一宿、内藤新宿にある薄暗くて、じめっとしていて、居心地のいい(?)宿場一小さな旅籠"土龍屋"の菩薩笑顔の幼い女将 お熊ちゃん、成り行きで宿の用心棒となった不遇の脱藩浪人 楠岡平馬、そして、宿の守り神(?)地獄の閻魔様の眷属 百年土竜 ムグラ様が、奇々怪々な事件から宿や宿場町を守る。まさに「のほほんモノノケ小説」という軽い感じで楽しめました。2021/04/24
あかんべ
7
軽い読み物として、楽しませていただいた。当節このような妖怪物が多く出版されているが、多いだけにかなり思い切ったオリジナリティーがないと、生き残れない。2017/01/02
R2
6
摩訶不思議な設定だけど人情深っくって、ドストライク。江戸は内藤新宿、この時代と化物は相性が良すぎるだろ。登場人物のキャラがマンガみたいで面白~い。お熊ちゃんの笑顔は卑怯だよ!2014/03/27
ネムコ
6
もののけ×江戸時代な小説が流行りですね。他人から頼まれるとイヤとは言えないヘタレ脱藩浪人・平馬と百年土竜のムグラさま、そして風通しの悪いじめじめした部屋が好き、という奇妙な嗜好の宿屋の跡継ぎ少女・お熊の三人が営む内藤新宿の小さな宿屋が舞台。最初はちょっと…と思いましたが、結構ハデな展開あり、恩返しあり、人情噺ありとだんだん面白くなってきました。つづくの? ひょっとしたら買ってしまうかも…(^^;)2013/03/21