内容説明
流しの簪職人・安二が深川で偶然出会ったのは、盗賊一味の引きこみ役の女・りんだった。大店の若旦那とりんの逢引きを見た安二は、押し込みの仕込み中だと推量し、北町奉行所定町廻り同心・神岡茂平に相談する。茂平は老練な岡っ引きの辰蔵に、りんを見張らせた。そして狙っているのが、日本橋の茶問屋だと目星をつけるが、りんに繋ぎを取る不審な者はいなかった。だが、りんは役人の裏をかき、若旦那を縛り上げて蔵を破った。そこに茂平が、押っ取り刀で駆けつけたが…。人情同心痛快時代小説。
著者等紹介
笠岡治次[カサオカハルジ]
愛知県生まれ。大学卒業後、歴史関係の編集者を続けながら、時代漫画の原作、映画作品のシナリオ、演劇脚本などに携わる。架空戦記小説で作家デビュー。江戸情緒溢れる人情時代小説が好評を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shokopan
2
茂平の周囲は朗らかでもう何だか安泰なので、読んでいて、ひとかたならぬ安心感がある。悪党さえもどこか飄々としていたり、止むを得ぬ事情があったり。茂平に限らず、市井に生きる人々の人情味にほろりとさせられて、読後感も爽やか。安二がいつか、歴とした心根の優しい女性と出会って、生涯を共にしようと思える日が出来ればいいな。2012/10/28
m-t
2
もうずっと安定している、百姓から町奉行所の同心となった男の物語。 強いんだけれど、それだけじゃない。 単純なんだけれど、それだけじゃない。 もっと二人の仲が進んで欲しいのだが、そうなったらこのシリーズは終わりなんだろうか。2012/09/30
蕭白
2
待望の新刊でした。相変わらず、表立って主人公・茂平とトキの仲は進展しませんが、茂平がトキの笑顔に赤面する描写が多くなって、密やかに育まれてるのかなぁなんて勝手な想像をしています。一方で、人間としての茂平は今回一回り大きくなったようです。次作も楽しみにしています。2012/09/18
すぴか
1
飯岡一家が出てきてうれしかった2013/04/29
豆狸
1
いつも思うけれど、読後感の爽やかなシリーズです。安二のお話、定吉のお話は良かったなあ。茂平は可愛いやつだ!2013/03/03