広済堂文庫
八犬傳〈下〉 (改訂版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 477p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784331614044
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

物語が書き始められて24年目、最後の幼犬士が出現。ここにようやく孝・義・忠・信・悌・礼・智・仁の珠をもつ里見家名代の八人の犬士が出そろった。関東管領扇谷定正率いる十万の軍勢から安房国を救うため、天命の糸で結ばれた八犬士がいま立ちあがる…。一方、執筆中に息子と妻を失い、しかも全盲となったにも拘わらず、口述筆記でついに大作「南総里見八犬伝」を完成させた滝沢馬琴。伝奇と伝記が見事に冥合した山田風太郎不朽の名作、完結編。

著者等紹介

山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県生まれ。東京医科大学卒業。47年、「宝石」新人募集に応募した「達磨峠の事件」がデビュー作。48年「眼中の悪魔」で第2回探偵作家クラブ賞短編賞を受賞。その後「甲賀忍法帖」を始めとした忍法帖シリーズなどを精力的に発表した。2000年、日本ミステリー文学大賞受賞。01年7月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

35
命長けりゃ恥多しというが、かけがえないものに気づくもの時間がかかる。八犬伝の執筆に数十年。自身の身体の病や衰えだけでなく、友との疎遠、別離、身内との確執と、本来物語のクライマックスに向けて精力を注ぎ込む時点での滝沢馬琴の心身は、プロットの明快さに反比例するように現実に蝕まれていく。物語世界の八犬伝も、オミットやダイジェストされ、虚と実の物語は、クロスオーバを繰り返し、八犬伝を書かされた男の生涯に収斂していく。リアルを求めた北斎もフィクションに殉じ切った馬琴に首を垂れて、また風来する。2024/02/15

あおでん@やさどく管理人

30
勧善懲悪、徹底した伏線の回収。ここまでの超大作でこれをやってのけるのは、馬琴の極端ともいえるほどの几帳面さにあったのだろう。こうした「虚の世界」の物語に、最後まで貫いた自身のポリシーと、若くして亡くなった息子・宗伯への思いの表れを感じた。2018/09/13

ヨーイチ

29
下巻のみ再読。こんな凄くて面白いのに登録数が少ないのはオカシイ!って文句言いたくなる。知名度が低くとも(忍法帳でもなく明治物でも無いせいか)オススメしたい山風作品として「叛旗兵」と本作を上げたい。本作は山風としては珍しく「伝記」の要素が多い。滝沢馬琴の人となり、生活環境を丹念追った結果ラストの迫力が山風らしからぬ「大きな感動」を与えてくれる。ニヒリズムが基本の山田風太郎には珍しい。泉下の大先達馬琴と魂の交流とも読める。同時期の京伝、北斎、崋山、大南北との交流を配しているのも効果的。2016/06/19

bluemint

19
里見義実の大ピンチに妖馬青海波に乗りさっそうと現れた最後の犬士は、なんと桃太郎のような子供の犬江新兵衛だ。いやあ興奮した。しかし、ここを最後のピークに、次第に実の世界が虚の世界を侵食し始める。ラストに最大の盛り上がりを見せるべき安房決戦も、どこか別世界のことのようで簡単なあらすじだけで終えてしまう。もはや馬琴の眼は見えず、ここで最後の救世主は無学な嫁のお路だった。彼女は必死の努力で八犬伝を完成に導く。馬琴の謝辞により彼女は文学史に永遠にその名を遺す。実の世界は不用と思ったが、全く違った。山風恐るべし。2018/08/12

ken_sakura

16
ご馳走♪( ´▽`)読み終わってしまって淋しい。最後に少し泣いた。「一人の作家が、一人の画家に語り出した。」の書き出しに興奮o(^▽^)o終章の虚実冥合は痺れた。読む前は、南総里見八犬伝を読んでいない、知らないことを心配する気持ちがあったが、よくよく考えれば読み手を限定するようなことをするはずはなかった。新装版のせいか、字が大きめ改行も多めでとても読み易く、出版社にもナイスをあげたい(^o^)/章立てから、三浦しをんの「ロマンス小説の七日間」を思い出した。薦めてくれたおもしろ本棚の先輩に感謝。2015/12/18

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