内容説明
アパート「人間荘」16号室の押入れから一冊のノートが発見された。そこには、その部屋に住んだ代々の住人が書きついだ人間観察、人間荘で起きた6件の犯罪―錯覚による殺人、出来心による殺人、善意による殺人、怠慢による殺人、正当防衛による殺人、口ふうじのための殺人―の記録が綴られていた。何故に、ひとつのアパートを舞台に住人たちの間で連鎖犯罪が起きたのか?その背後には恐るべき真実が…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まめこ
11
★★★☆☆なぜか殺意に取り憑かれる人続出の人間荘12号室。ここには代々の間借り人が書き綴る殺人の記録ノートが隠されていた。動機も仕掛けも荒唐無稽なものばかりなのに山田風太郎だからなと納得できてしまう。殺人保険や勘違い、怪談や善意など本人たちは自分の意志で行動しているつもりが、巧妙に彼らを操り便乗する黒幕の存在が面白い。誰にもできる…わけないよ~こんな殺人(笑)!2019/01/16
ソルト佐藤
4
ちょっと理由があって、二〇年以上ぶりに再読。やはり、この連作短篇形式を昭和30年代に完成させている山風はすげーの一言。悪女と聖女の振れ幅は山風らしい。2020/02/17
曖昧模糊の蒙昧無知
2
久々の山風。ミステリー小説は初めてかもしれません。短編連作として秀逸なのに、「連載の都合」で創られたというのは、やはり恐るべし。犯人は概ね当たりがつきましたが、それでも最終章は唸る展開に。2022/04/03
遠藤良子
1
初・山田風太郎。文体がいかにも大正年間の方。一つひとつの事件はともかく、明らかに志賀嬢が怪しいし、ラストは捻りが無いのであっさりしてる。山本タカトのカバーイラストはかっこいい。2012/04/25
denz
1
アパートの一室の住人に受け継がれていったノートに記された殺人事件の記録を元にした連作短編。しかし、最後には全体をつなぐ黒幕の存在が明かされる。その「真実」はホラーでもある。文句なしに面白い。2011/11/02