内容説明
アマテラスやウズメ、海幸彦など、『古事記』でおなじみの神々が登場する神楽。しかし、『古事記』の物語をそのままなぞっているわけではない。日本列島には、大和政権の担い手である渡来民がやってくる以前から、自然と共生して暮らしてきた人々がいた。その先住民の伝承―縄文にまでさかのぼる古層の記憶や、渡来民との衝突と和解の物語―が、神楽にはひそやかに織り込まれている。
目次
序章 神楽は古代史の謎を秘めている
第1章 天の岩戸―岩戸開きは太陽神再生の呪法
第2章 天孫降臨―サルタヒコは南の王である
第3章 ニニギの結婚―イワナガヒメは先住の女性シャーマンである
第4章 オオヤマツミの登場―先住の山の神の威光
第5章 海幸彦と山幸彦の諍い―先住隼人族と渡来民の衝突
第6章 神武天皇の東征前夜―大和王権の胎動と古代日向
第7章 荒ぶる国つ神―荒神に託した先住民の抗議と譲歩
補論 道化神―まつろわぬ民のしたたかな抵抗
終章 翁が伝える縄文の記憶
著者等紹介
高見乾司[タカミケンジ]
1948年大分県生まれ。1986年、湯布院空想の森美術館を設立・運営し、地域づくりと連携した活動を行なう。2001年に同館を閉館。2007年、宮崎県西都市に九州民俗仮面美術館を開館。九州の民俗仮面と神楽の研究をライフワークとし、収集した仮面のうち90点は九州国立博物館に収蔵された。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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