内容説明
八百長問題で、現在も相撲協会と係争中の武田頼政氏が、八百長の功罪、メディアとの関係、一人横綱の弊害など、相撲界の抱える問題点とその構造的欠陥を指摘。さらに、この先どうすれば相撲は健全な形で生き残ることができるのかを提案する。渦中のジャーナリストだから書ける渾身、必読の一作。
目次
第1章 八百長シャンパンタワー理論(技量審査場所で見えたもの;八百長は必要悪か ほか)
第2章 NHKテレビ放映が変えた大相撲(大相撲を変えたテレビ放映;数値目標も八百長を助長 ほか)
第3章 千代の富士から若貴時代の明暗へ(双羽黒を育てられなかった相撲協会;記録に固執するようになった千代の富士 ほか)
第4章 ブラックバス襲来(モンゴル力士誕生;米びつの論理と“クセ者”旭鷲山 ほか)
第5章 大相撲改革論(八百長を通して見えるもの;時太山はなぜ、死ななければならなかったのか ほか)
著者等紹介
武田頼政[タケダヨリマサ]
1958年、静岡生まれ。京都産業大学経済学部卒。航空専門誌「航空ジャーナル」の記者を経て、88年フリーに。95年には坂本堤弁護士一家殺害事件の全容を逮捕前の実行犯(岡崎一明、現死刑囚)から聞き出し、「週刊現代」誌上でスクープ。大相撲における一連の八百長疑惑報道では、第14回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞(2008年)の大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あらあらら
5
確かにモンゴル横綱の八百長は醜い。いい形なっても白鵬が勝つ。鶴竜が横綱になった時も両横綱が琴奨菊に負けるなど露骨すぎる。早く貴乃花が理事長になって本当の相撲が見たい!2014/11/26
kinoko
3
子どもの頃から5時過ぎはうちのテレビは相撲。特に興味もないが自然に生活に入っていた相撲。輪湖時代、若貴時代、ワイドショーでのさまざまなスキャンダル…。そしてここ数年、突然私に舞い降りてきた相撲ブーム(笑)。そんな、今まさに相撲が楽しくて仕方ない私には衝撃の1冊でした。相撲協会改革派の著者からの見解。もう1度じっくり読まないと…。あまりに驚きの話でした。2020/10/27
kenkou51
1
大相撲の取り組みにおける八百長の歴史、八百長をせざるを得ない協会の仕組みを詳細に綴っている。この手の問題になると必ず登場してくる元小結の板井にも取材をおこなっていた。八百長を絶対受けなかった横綱貴乃花。頑なな一途な信念は別の側面では、他人から変わり者的雰囲気も感じさせてしまうようだ。また、相撲のレベルの低下も筆者は指摘している。人材難からくるものだろうが、科学的トレーニングも進化してきているスポーツ界においてレベルが低下している競技は珍しいのでは。20年後、30年後相撲は残っているのだろうか。2017/11/02
anken99
1
週刊現代誌上にて、大相撲の不祥事の数々を告発してきた著者の、2011の作。八百長問題、大麻事件、かわいがりに外国人力士問題・・・。大相撲が抱える数々の問題を、わかりやすく紐とき、著者なりの改革案を提示する。相撲人気の凋落が久しいいま、何をすべきかの論点の多くは、正しいものだといえるだろう。興味深かったのが、貴乃花に関する記述。現代の若者力士の多くが、ガチンコ力士(八百長をやらない)だった貴乃花に憧れて相撲界に入り、その真の姿を知るにつれ、さらに尊敬の念を深めているという。改革は貴乃花の手腕にかかっている。2013/08/02