内容説明
かつて国鉄に1万両以上が在籍した客車は、現在はイベント用などにわずかの両数を数えるだけになった。そんな「絶滅危惧種」に近い客車だが、個性豊かな車種や形式の多さは、電車などと比べてもなんら遜色がない。むしろ画一化された最近の車両と違い、極端にいえば1両ごとにさまざまなスタイルの差や変化があって、その個性は際立っている。鉄道の全盛期に、客車は多くのヒトやモノを運び、そのためにきめ細かい工夫や改良を重ねながら複雑な変遷をたどってきた。そんな客車の摩訶不思議な魅力を、マニア歴50年の筆者が掘り起こす。
目次
第1章 客車の迷宮にようこそ―まずは客車の「イロハ」から
第2章 バラバラの魅力―個性的すぎる形態や用途
第3章 小回りの良さ―抜群の使われ勝手
第4章 客車が運んださまざまなもの
第5章 変身と工夫―第2・第3の人生を
第6章 絶滅危惧種をどう守るか
著者等紹介
和田洋[ワダヒロシ]
昭和25(1950)年生まれ。神奈川県藤沢市で東海道本線の優等列車を見ながら育つ。昭和49(1974)年東京大学文学部卒。新聞社勤務を経て現在は会社役員。子供のころから鉄道車両、特に客車を愛好し、鉄道友の会客車気動車研究会会員。著書に「『阿房列車』の時代と鉄道」(交通新聞社・鉄道友の会2015年島秀雄記念優秀著作賞受賞作品)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
2
ぬこ田が物心ついた頃は、国鉄民営化前夜で客車列車終焉が近づいていた時代であったのだが、鉄道が陸運の王者であった時代に、その頃ですら想像できない程の客車の時代があったことを思い知らされた。正直「マニアってすごい」と思い知らされた。2016/04/10
佐倉 海人
1
大井川鐵道に行くのを機に読み始めました。 やはり客車は多様な変化があって興味は尽きず、一気に読みきりました。2023/07/18
Teo
1
私は子供の頃は普通に旧客に乗った世代で、言われてみれば千差万別の客車が連結されていた。未だ子供でその面白さが分からなかったのが悔やまれる。著者程の年齢だったらなあと。はっきり意識して乗ったのは急行ニセコのグリーン車と大夕張の3軸ボギー車くらいか。とにかく面白かったよとしか言えない。2016/05/31
やまほら
0
最近鉄道雑誌でも名をよく見る著者。客車のややこしさと、だからこその鉄道趣味としての面白さがふんだんに盛り込まれた1冊。ただ、惜しむらくは現物がほぼ壊滅しているので、この本を読んで興味を持っても、どうしようもないんですよねえ。2017/11/05
kenitirokikuti
0
むかしは機関車が貨車を牽引してたのだなぁ、ということをひさひざに思い出した。2016/05/15