内容説明
長年にわたって日本の鉄道経営の中枢にいて、それぞれの時代の舵取りをしてきた著者が、環境問題、エネルギー問題などで鉄道に対する新たな期待が高まっている現在、今後のあるべき鉄道の展開を視野に入れながら、あらためて振り返った昭和の鉄道史。明治・大正の前史から、戦前の興隆期、戦時下、戦後復興期、高度経済成長期、昭和40年代以降の転換期までの、それぞれの時代の鉄道の実像を多彩な資料とともに解説する。
目次
前史1 明治期―鉄道の創業と発展
前史2 大正期―鉄道の拡充期
昭和の鉄道1 昭和元年~15年―興隆期の鉄道
昭和の鉄道2 昭和16年~20年―戦時下の鉄道
昭和の鉄道3 昭和20年代―戦後復興期の鉄道
昭和の鉄道4 昭和30年代―高度経済成長の鉄道
昭和の鉄道5 昭和40年代以降―転換期の鉄道
著者等紹介
須田寛[スダヒロシ]
昭和6年生まれ。29年3月京都大学法学部卒。同年4月日本国有鉄道入社、昭和62年4月東海旅客鉄道(株)代表取締役社長、平成7年6月同社代表取締役会長、16年6月同相談役(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
1
著者はJR東海の社長などを務めた人物。 昭和期の鉄道について、利用者へのサービスという側面からまとめたもの。昭和元年~15年、16年~20年、20年代~戦後復興期、30年代~高度経済成長期など7つの時期に分け、各章でA.国鉄旅客運輸の動向、B.貨物運輸の動向、C.民鉄の動向が語られている。さらに各節では①路線・運行、②車両等、③諸サービス等、④運賃・営業所制度といったふうにシステマチックに話が進んでいく。 各時期の鉄道のようすが俯瞰でき、便利で分かりやすい。しかし、読んで楽しい本ではないのでご注意。2023/09/16
kenwatan
1
整理されている観点が 国鉄 / 民鉄 サマリー/時刻表/車両/サービス/貨物 と 整っていて 理解しやすい 戦中のせつなさが募る。2016/09/01
イガラシ
1
明治から昭和までの鉄道の変革を描いたもの。国鉄(官鉄)、私鉄(民鉄)の動向や車両、サービス等をそれぞれの時代毎にまとめてあり、それぞれの時代を想像しながら読み進めることができた。東海道新幹線ができたことで客車と貨物を別路線で運ぶことができるようになったが、その頃から荷物が減り始めて国鉄も赤字体質になっていく。昭和後期のあたりはよく知っているが、ここまで長い時代を語ることのできる人はもう多くないのだろう。鉄道の進化を見続けてきたというのは、ちょっと羨ましいとも思った。2013/11/26
rbyawa
1
d141、明治時代の鉄道黎明期から始まって、大正、昭和とサービスの変遷と話が進み、戦中の軍需のための重圧、そして戦後の体制へと、個人的にはなにをテーマにしているのかわかりにくい、という印象だったのだけれども、大正の終わりぐらいからのサービス精神(「親方日の丸」からの脱却)の一進一退の展開を新幹線や貨物などの幾つかの業態を通して語り、JRへとつなげ平成の鉄道へ、というスタイルだと考え直すとすとんと納得出来た。まあただ、昭和の鉄道というよりは「昭和の国鉄」という内容だったかなぁ、そのほうがまとまってたかもね。2013/10/02
なかきたーじゅ
1
★★★☆☆体系的に書かれているので読みやすく、また、調べる手段としても使えそうである。内容に関しては、国鉄の話に比重が偏っている点、技術的な話が多い点、これからの鉄道に対する期待がやや時代遅れ(多角化等)という点、が気になったが、これからもお世話になるであろう一冊。2012/08/20