内容説明
生きるために、もう黙らない。改憲、性差別、ヘイトスピーチ、やまゆり園障害者殺傷事件―長期政権が招いた社会の危機を問う。
目次
1 岐路にたつ憲法
2 わたしがわたしであるために―性をめぐる差別と加害をこえて
3 組織される「銃後」
4 歴史の忘却とともにやってきたヘイト
5 「道徳」の教科化に揺れる教科書
6 やまゆり園障害者殺傷事件を追いつづける
削られた「八行」―あとがきにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこしま
16
差別が人を殺す。シリーズ第3巻は政治だけでなくヘイト、やまゆり園のことを強く取材されています。「事件を起こしたのは(植松)被告だが、その背景には無数の「被告」が存在する」という一文に恐怖を感じました。この優生思想は誰にでもあり、記者自身は幼い頃から一生懸命勉強をして、いい学校に進み、名のある企業、職業にありつけた自分の生い立ちも、実は植松と変わらずと苦悩してる辺りは考えさせられました。線引きは難しいですが、弱者を他者として排他する差別の声がまた強くなってきたのは、植松の件やヘイトスピーチで明確になってます2020/01/03
紫苑
3
神奈川新聞「時代の正体取材班」による企画第3弾。読み終えて、ここまで閉塞した社会になったかと嘆息しかない。第25回参議院議員通常選挙の直後ということもあり、最も気になったのは道徳教育とやまゆり園事件だった。2006年、第1次安倍政権下で改正された教育基本法により、道徳が教科化され、内容は協調性(言い換えれば同調)と自己犠牲を強く求めるものになった。他人と異なる判断をしないという姿勢は投票行動にも反映されていると言われる。→2019/07/26
sansirou
1
憲法、LGBT、沖縄、関東大震災、道徳、そしてやまゆり園と今日の日本での混迷について、批判的に論じる姿勢が、心に響く。2020/05/10