目次
第1部 反秘蹟への序論(母権憎悪;受肉 ほか)
第2部 恩寵否定―新たな神秘学のために(神秘学と進化論;哲学的価値批判 ほか)
第3部 肉体の錬金術(位階制度的宇宙構造論;オクターヴの法則 ほか)
第4部 言葉の熔鉱炉―サド侯爵をめぐって聖霊なき物質の方へ(歴史は個人史の頂点で蹂躙される;「神の国」は「諸制度」というプリズムを通して「恒久破壊のユートピア」に投影される ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sibafu
5
暗黒舞踏系の舞踏家・笠井叡さんによる神秘主義の本。父に借りて読み始めたが今日まで読み終えるまで何年掛かったか判然としない。非常に濃い本ではあるのだけど、ほとんど理解できていない。エリアーデ、スピノザ、グルジェフ、バタイユなど興味のある学者などに言及していて、密教や錬金術に触れている部分もあるのだが、全体としてはいまいちはっきりと掴めていない「天使論」であり、最終的にはサド侯爵の哲学という一つの地点に収束していく経緯であるので、結局はまるっきり私には理解できていない。誰かに解説してもらいたい一冊。2015/06/09
Syujin Yukido
2
著者20代の著作。舞踏家・オイリュトミストとして大石凝とシュタイナーでその身体論を体系化しているようにみえるが、それらがなくても構築されていた。同様、サド論で結んだようにみえるが、その肉体論と無神論的宇宙論は、著者の中にあったように思える。「彼は、「生を装った物質=肉体」を限りなく犯しながら、結局、「意識の死」を予告したのである。何故なら、「母権への憎悪と物質への憎悪、それはまったく一つのもの」だからである。」そしてサドは自分の無罪証明のためでなく有罪証明のために書いた。これを証明するために本書はある。2023/01/28
Kodo Tenco
0
グルジェフとのはしご酒として喫みたい一冊。グルジェフのクンダバファー、すなわちクンダリニーへのクッション材が創造主の移植物であり、クンダバファーからの脱出しきってはじめて月の餌から逃れられるという始点がないとやや難解か。世界図書街に残すべき良書でありながら、虚構世界をせかせかと愛す現実主義者にとっては、耐えがたき悪書になるのかもしれない。巻末の脚注もメインディッシュのあとにふさわしいグラッパぶりで、胃がすっきりと動きだす。本を嗜好品と視るならば、この本が初対面で話題にあがった瞬間、その人は同族である。 2017/07/07