感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
檜田相一
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東大全共闘のときに、学生たちはみんなこれを読んでいたらしい。共産主義に幻滅し『動物農場』『1984』で社会主義国家を痛烈に批判するきっかけとなった作品だが、オウエルは上下関係が存在せず人々がのびのびと生きていたカタロニアを見てむしろ社会主義への確信を深めたらしい。上官の肩を叩いてタバコをもらえるような上下関係のない市民軍を、彼は「社会主義の小宇宙」と言う。しかし、「革命はまだ早い」と考えるソ連の支配下にある共産党によってオウエルが属していた市民軍は「裏切者」とされ次々と監獄に送られ銃殺されてしまうのだが。2024/02/03
川獺
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スペイン内戦は三つ巴だったの?2020/05/22
denden
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再読。1937年、スペイン市民戦争に義勇兵として参加した作者の従軍記、と言っても著者が書きたかったのは戦場ではない。銃後のバルセロナでのスターリン主義的共産党と、労働者側に立ったアナキスト・トロッキストの対立、そして共産党の裏切りが読まれるべきである。この書は1966年に出版され大学紛争から70年安保へ学生運動が盛り上がる中で読み継がれ、社会へ影響を与えた、歴史的な書物である。対立する者を情報を操り、侮辱し弾圧する勢力は厳然と存在し、スペインでも70年台でも、今日の国会前でも同じ構図を見ることができる。2018/09/20