感想・レビュー
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ヴェネツィア
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下巻では、既に安土城に居を構え、ほぼ「天下布武」の成った天正5(1577)年から、本能寺で命を落とした10(1582)年までを描く。まだ依然として合戦は描かれるものの、大きなものは武田勝頼、信勝との決戦の末にこれを破った戦いくらい。そしてついに「家康卿御上洛の事」の条の後に、唐突とも思える記述で「惟任日向守(明智光秀)謀反の事」として信長の最期が描かれる。「かくて奥深く引入り給へば、やがて御座所に火かゝり御殿一時の灰燼とぞ成りたりける。其の後御首を求めけれども更に見えざり」というものである。2020/07/08