出版社内容情報
アメリカの文学作品を中心に、テクストに描かれている文化表象を読み解くことにより、近代社会のファミリー、ジェンダー/セクシュアリティ、これと深く関わる暴力、その延長上にあるテロリズムについて考察する。
[ヘテロ]セクシズムと暴力の不可分の関係を検証。
アメリカの文学作品を中心に、テクストに描かれている文化表象を読み解くことにより、近代社会のファミリーという、もっとも身近な親密圏の検証に始まり、ジェンダー/セクシュアリティ、また、これと深く関わる暴力、そして、その延長上にあるテロリズムについて考察する。また、「物語」の喚起力と、それゆえのイデオロギーに加担してしまう陥穽、およびイデオロギーを攪乱するしたたかさの両方の緊張を提示し、物語表現の恐ろしさと魅力を語る。フェミニズム批評の第一人者による、英語圏文学における、はじめての単著であり、また遺作ともなった渾身の書。
第?T部
第1章 母なき娘はヒロインになるか ―― 孤児物語のポストファミリー
第2章 子どもの認知とポストファミリー ―― 「パールの使命は果たされた」のか?
第3章 親族関係のブラック/ホワイトホール ―― 『アブサロム、アブサロム!』を乱交的に読む
第?U部
第4章 別れる理由、あるいは別離という生 ―― シリーズとしてのレズビアン・パルプフィクション
第5章 ミスター・アンド・ミセス・ダロウェイ ―― 二つのテクストの「沈黙」が交差するところ
<コラム> 気が滅入る作家 ―― ヘミングウェイと志賀直哉
第?V部
第6章 <テロリストの身体>のその後 ―― 『カサマシマ公爵夫人』の終わり方
第7章 「戦場」としての身体 ―― グローリア・アンザルデュアにおける読むことができないことの未来
第8章 対抗テロリズム小説は可能か ―― 『マオ?U』(一九九一年)から『星々の生まれるところ』(二〇〇五年)へ
第?W部
第9章 虎穴に入れば…… ――〈フェミニズム・文学・批評〉の誕生と死
第10章 ジェンダー・レトリックと反知性主義
第11章 ある学問のルネサンス?――英(語圏)文学をいま日本で研究すること(講演)
【著者紹介】
専門は、英語圏文学、批評理論、フェミニズム思想。
著書に、『フェミニズム』(岩波書店 2000)、『愛について――アイデンティティと欲望の政治学』(岩波書店 2002)、『“ポスト”フェミニズム』(編著 作品社 2003)など。
訳書に、トリン・T・ミンハ『女性・ネイティブ・他者――ポストコロニアリズムとフェミニズム』(岩波書店 1995)、ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル――フェミニズムとアイデンティティの攪乱』(青土社 1999)、同『アンティゴネーの主張――問い直される親族関係』(青土社 2002)、同『触発する言葉――言語・権力・行為体』(岩波書店 2004)、サラ・サリー『シリーズ現代思想ガイドブック ジュディス・バトラー』(青土社 2005)、ジュディス・バトラー/ガヤトリ・スピヴァク『国家を歌うのは誰か?――グローバル・ステイトにおける言語・政治・帰属』などがある。
内容説明
フェミニズム、セクシュアリティ研究をはじめとする現代の思想界に大きな影響を与えた竹村和子(1954‐2011)。その思想は専門である英語圏文学研究をつうじ育まれた。アメリカ文学を中心に、生前に発表した論文、講演から、著者の厳選による、初の文学論の単著。物語の可能性、文学研究の可能性に向けて。
目次
母なき娘はヒロインになるか―孤児物語のポストファミリー
子どもの認知とポストファミリー―「パールの使命は果たされた」のか?
親族関係のブラック/ホワイトホール―ウィリアム・フォークナー『アブサロム、アブサロム!』を乱交的に読む
別れる理由、あるいは別離という生―シリーズとしてのレズビアン・パルプフィクション
ミスター・アンド・ミセス・ダロウェイ―二つのテクストの「沈黙」が交差するところ
“テロリストの身体”のその後―『カサマシマ公爵夫人』の終わり方
「戦場」としての身体―グローリア・アンザルデュアにおける読むことができないことの未来
対抗テロリズム小説は可能か―『マオ2』(一九九一年)から『星々の生まれるところ』(二〇〇五年)へ
虎穴に入れば…―“フェミニズム・文学・批評”の誕生と死
ジェンダー・レトリックと反知性主義
ある学問のルネサンス?―英(語圏)文学をいま日本で研究すると
著者等紹介
竹村和子[タケムラカズコ]
1954年生まれ。元・お茶の水女子大学大学院教授。専門は、英語圏文学、批評理論、フェミニズム思想。2011年12月に逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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