出版社内容情報
イギリス人の基本的な考え方を理解する
イギリス哲学は、キリスト教と自然科学の間で「自由」を追求し、近代国家の基礎をつくり、市場経済を確立するとともに、進化論や言語論、数学や論理学といった知的フロンティアを開拓してきた。本書は、イギリス文化の精神的バックボーンをなす経験論哲学の伝統を、時代を追って概観した新しい入門書である。文学・歴史研究者のみならず、アングロサクソンの思考様式や文化の特質に触れたいと思う一般読者に広く推薦したい。
第一章 スコラ哲学 大久保正健
第二章 近代思想の幕開け 安達まみ
第三章 科学革命の衝撃 寺中平治
第四章 イギリス経験論の誕生と展開 中才敏郎
第五章 近代国家の成立と市民社会の思想 只腰親和
第六章 道徳論の興隆 柘植尚則
第七章 功利主義の台頭 久保田顕二
第八章 ダーウィニズム 桜井徹
第九章 分析哲学 米澤克夫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ishida the Brain Damaged
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イギリスの哲学が、経験主義から独自の道を歩み、最終的には経験とはなんぞやというところにいたった経緯がよくわかる。しかしこの本で一番驚いたのは、後書きによるとこの本の発案から出版まで一年程度でできていることだ。普通、学者の原稿ってのは年単位で遅れるものだと思っていたのだが、全然そういうなはなさそう。イギリス哲学学会の学者がまじめなのか、それとも今時はこんなもんなんだろうか?2016/03/15
左手爆弾
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もしもタイトルに忠実な本であったら、相当な名著であっただろう。実際の中身はというと、スコラ哲学から分析哲学までの流れをざっくり紹介するだけの本になってしまっている。面白いことも書いてあるのだが、全体としてのしまりがない。そもそも、「イギリス哲学」というが、その「地名+哲学」という括り方を保証するものは何か。また、そうした括りが可能だとして、その全体的な特徴や傾向は何か。これが不分明であった。もっといえば、イギリス哲学が一貫して追求した問題の系譜があるなら、それを書くべきであった。2015/03/27