出版社内容情報
牧歌、メタドラマ、グロテスク、バロック、多義性―伝統派と新批評派のはざまに立つ著者が、シェイクスピアをたて糸に織り上げたタペストリー。
内容説明
第1部では英国史劇を論じたが、その陰画にあたるのが第2部の牧歌論である。牧歌の黄金郷に侵入した「時」は、第3部の悲劇の世界に連係する。最後の第4部では、ローマ劇からベン・ジョンソン、トマス・ナッシュと、シェイクスピアの同時代の作家に視野を広めた。長年の研究ここに結実。
目次
カーニヴァルの王、フォールスタッフ
『ジョン王』あるいは歴史の解体
エリザベス1世の虚像
なにがアーデンの森で起こったか
ロマンス劇の季節
失われた黄金郷を求めて―『冬物語』
『スペインの悲劇』―バロック劇として
バロック劇の東西
ハムレットと言葉
三人のガートルード
リア王の悲劇と『リア王』の悲劇
劇場国家の女王、クレオパトラ
討論劇としての『コリオレイナス』
シェイクスピアとジョンソンの対話―ローマ劇をめぐって
『エピシーン』覚え書き
エリザベス朝のトリックスター、トマス・ナッシュ