感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかふく
2
エンプソンが「牧歌」を取り上げるのは、同じような機能を持つはずのプロレタリア文学による批判が、ある制度がなければ維持されないものに過ぎないように見えたからである。牧歌はある意味で永久であり、それはパロディなどの形式によって高貴なもの(英雄詩など)を常に二重性を作り出しながら格下げする。この二重性は「曖昧さ」と言うこともできるだろうか? 四方田犬彦の指摘通り、確かにバフチンの取り上げたメニッペアとも近い。扱われるのはシェイクスピア、ダン、マーヴェル、ミルトン(ベントリー)、『乞食オペラ』、『アリス』など。2014/05/04