出版社内容情報
グローバル化と格差社会の進展。地球規模のポピュラーカルチャーの発達。それらの結果としての「文学」の定義の変容を見据え、斬新な切り口で21世紀の文学研究が進むべき道を考える。また、研究者以外にも開かれた知見を提示。
21世紀の文学研究が進むべき道を考える
グローバル化と格差社会の進展。地球規模のポピュラーカルチャーの発達。それらの結果としての「文学」の定義の変容。
今日までのアメリカ・イギリスの批評のあり方と歴史を網羅しながら、斬新な切り口で、新たなる研究の鉱脈を例示する。
文学テキストの読解をメインに据えながら、旧来の「文学」に限定されない文化全体、そして人文学・社会学への広い目配りを前提として、文学研究者以外にも開かれた知見を提示する。
1 文学にとって美とは何か:モダニズムの崇高なる対象
2 文化と社会の分断を超える:文化とその不満――文化研究以降のマルクス主義批評
3 なぜ作品を精読するのか:新批評、冷戦リベラリズム、南部文学と精読の誕生
4 イデオロギーとしての(ネオ)リベラリズム:『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の現在、そして、コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』――「文学」の成立と社会的な想像力の排除
5 帝国主義からグローバリズムへの転換点 : 米国フォーディズムのディストピア、あるいは、『すばらしい新世界』のエコノミー――帝国、インターナショナリズム、グローバリズム
6 精神分析は普遍的なのか : 「文学」「理論」「歴史」を内破する「死の欲動」――キャサリン・マンスフィールド「至福」のフロイト的言語をめぐって
7 ポストコロニアリズムは終わったのか : 対位法の時空間――歴史を読む/サイードを読む
【著者紹介】
三浦玲一(みうら れいいち) 一橋大学教授。専門は現代アメリカ文学。著書に『ポストモダン・バーセルミ』(彩流社)、共著に『現代批評理論のすべて』(新書館)、訳書にウォルター・ベン・マイケルズ『シニフィアンのかたち』(彩流社)、共訳書にエドワード・W・サイード『権力、政治、文化』(みすず書房)など。
遠藤不比人(えんどう ふひと) 成蹊大学教授。専門は現代イギリス文学。著書に『死の欲動とモダニズム』(慶應大学出版局)、共著に『知の教科書――批評理論』(講談社選書メチエ)など。
大田信良(おおた のぶよし) 東京学芸大学教授。専門は現代イギリス文学・文化理論。著書に『帝国の文化とリベラル・イングランド』(慶應義塾大学出版局)。
越智博美(おち ひろみ) 一橋大学教授。専門はアメリカ南部文学。著書に『モダニズムの南部的瞬間』(研究社)、共著に『現代批評理論のすべて』(新書館)など。
河野真太郎(こうの しんたろう) 一橋大学准教授。現代イギリス小説・批評理論が専門。共著に『現代批評理論のすべて』(新書館)、『愛と戦いのイギリス文化史――1951-2010』(慶應義塾大学出版局)、共訳書にエドワード・W・サイード『文化と抵抗』(ちくま文庫)、『権力、政治、文化』(みすず書房)、フレドリック・ジェイムソン『カルチュラル・ターン』(作品社)、トニー・ジャット『失われた20世紀』(NTT出版)、トニー・ベネット他『新キーワード辞典』(ミネルヴァ書房)など。
中井亜佐子(なかい あさこ) 一橋大学教授。専門はポストコロニアル文学、批評理論。著書に『他者の自伝』(研究社)、共著に『現代批評理論のすべて』(新書館)。
中山徹(なかやま とおる)一橋大学准教授。専門は現代イギリス文学、批評理論。共著に『最新文学批評用語辞典』(研究社)、『愛と戦いのイギリス文化史』(20世紀前半篇、慶應義塾大学出版局)、共訳にジジェク『大義を忘れるな』(青土社年)など。
内容説明
グローバル化と格差社会の進行、地球規模のポピュラーカルチャーの発達により「文学」の定義は変容しつつある。新自由主義化のなかで21世紀の「批評」に何ができるのか。批評の現在が提示する、新しい「政治」。
目次
1 文学にとって美とは何か―モダニズムの崇高な対象(『ユリシーズ』における昇華、「モダニズムと帝国主義」の可能性)
2 文化研究以降のマルクス主義批評―文化とその不満(教養小説の終わりと「怒れる若者たち」)
3 イデオロギーとしての(ネオ)リベラリズム―「文学」の成立と社会的な想像力の排除(『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の現在とコーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』)
4 なぜ作品を精読するのか―新批評、冷戦リベラリズム、南部文学と精読の誕生(トランスパシフィックな国語教育と川端康成)
5 隠された「世界」を読む地政学的読解―帝国、インターナショナリズム、グローバリズム(米国フォーディズムのディストピア、あるいは、『すばらしい新世界』のエコノミー)
6 精神分析は普遍的なのか―「文学」「理論」「歴史」を内破させる「死の欲動」(キャサリン・マンスフィールド「至福」のフロイト的言語をめぐって)
7 ポストコロニアリズムは終わったのか―対位法の時空間(歴史を読む/サイードを読む)
著者等紹介
三浦玲一[ミウラレイイチ]
一橋大学教授。専門はアメリカ文学・ポストモダニズム(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Shun'ichiro AKIKUSA
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