内容説明
歴史と、コミュニティーと、日本という三つの視座から、ナサニエル・ホーソーンを考察。第一部で、植民地時代のニューイングランド史に多くの題材を求めたホーソーンの歴史的次元に注目し、第二部で、作品の現代性を支える大きな要因としてホーソーンとコミュニティーの問題を論じ、第三部で、明治期以来親しまれてきたホーソーンと日本の関わりを取り上げて、最後に、ホーソーン研究を中心に「日本における外国文学研究の可能性」を模索する。ホーソーン研究者、待望の1冊。
目次
第1部 ホーソーンとアメリカ(ホーソーンとアメリカ植民地史―茶番劇「ボストン封鎖」とミシアンザ舞踏会;ホーソーンのインディアン観―「ヒロイズムの象徴」から「怒れる雌トラ」に変わったダストン夫人;「総督官邸の伝説」に隠されたホーソーンの意匠―この素晴らしい騙し絵;『緋文字』再読―セイラムの「税関」を通って再生へ)
第2部 彷徨う「宇宙の追放者」たち(『ブライズデイル・ロマンス』に見るホーソーンの孤立観―コミュニティー、そして帰属と離脱の方程式;『七破風の家』に見る孤立脱却のテーマ―運命共同体としての「家」とその住人たち;「父親探求」の物語としての「人面の大岩」―そして、いつまでも父親になりたくないアーネスト)
第3部 ホーソーンと日本(『パーレー万国史』と文明開化―明治期における世界史事始め;ホーソーンと『日本遠征記』―「陳腐ならざる話題」としての日本;日本における『緋文字』の受容―欧米文化導入と日本のキリスト教徒たち;日本における外国文学研究の可能性―ホーソーンを中心として)
著者等紹介
阿野文朗[アノフミオ]
1932年、鹿児島市生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。アメリカ学術協会協議会(ACLS)特別研究員としてデューク大学とイェール大学で研究。東北大学名誉教授。専攻はアメリカ研究・アメリカ文学。アメリカ=ナサニエル・ホーソーン協会創立会員、日本ナサニエル・ホーソーン協会創立会員、同協会会長(第六代)、同協会顧問。1996年、アメリカでThe House of the Seven Gables Nathaniel Hawthorne Awardを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。