出版社内容情報
★英国における「社会像」の歴史的変遷と未来
イギリスにおける「社会像」の歴史的変遷を分析。「ソーシャリズム」とは、元来、個人が社会・文化の全体像を共時的にも通時的にもイメージし記述する試みでもあると捉え、レイモンド・ウィリアムズをはじめとするイギリスのさまざまな批評家や作家によるそうした試みの系譜や相互影響をたどる。
第I部 言語論的リベラリズム、そしてその終わりとしてのラディカリズム
第一章 リベラリズムと言語――翻訳、その理論の歴史
第二章 ソーシャリズムの伝統を翻訳する――言語のマテリアリズム、言語とマテリアリズム
第II部 二重視、批評理論、そして教養ある少数者たち
第三章 ロンドンアイからダブルアイへ――1950年代の若者たち、そして労働者たち
第四章 ふたつの二重視――ポピュラー・ポリティクスとブレヒト再発見
第五章 大衆論者ハンナ・アーレントと批評家レイモンド・ウィリアムズ
第III部 「私たち」とは誰か?――ソーシャリズム、アナキズム、ナショナリズム
第六章 ゆがめられる記憶、幻視される過去――「私たち」とは誰か?
第七章 1983年のパフォーマンス、1966年のレーゼドラマ――瀕死のアナキズム・イン・UK
第八章 ナショナリズムの文化と社会――アンダーソン、ゲルナー、ネアン
第九章 「地にもぐるもの」と「距離をはかるもの」――レイモンド・ウィリアムズのラディカルなネイション
【著者紹介】
関西学院大学准教授。専門は20世紀イギリスの文化と社会、批評理論、演劇。英文学会の第31回新人賞受賞(若手の優秀な論文に与えられる)。共著に『現代批評理論のすべて』(新書館)、『文化と社会を読む 批評キーワード辞典』(研究社)、『愛と戦いのイギリス文化史――1951-2010』(慶應義塾大学出版局)、共訳書にエドワード・W・サイード『文化と抵抗』(ちくま文庫)、『故国喪失についての省察2』(みすず書房)、トニー・ベネット他『新キーワード辞典』(ミネルヴァ書房)など。
内容説明
欧州のなかのイギリス。その社会像の変容をたどり悲劇と残酷の世紀を目の当たりにしてかつてウェールズの辺境から発せられた生の営みを共有するためのデザイン―「わたしのソーシャリズム」の企図を“翻訳”する試み。
目次
第1部 翻訳と自由(翻訳と自由―ことばのかたちを“移植”する;感情のリベラリズムから二重視へ―漠たる“意図”をつなぐこと)
第2部 二重視の諸相(ロンドン・アイからダブル・アイへ―一九五〇年代の若者たち、そして労働者たち;ふたつの二重視―ポピュラー・ポリティクスとブレヒト再発見;ゆがめられる記憶、幻視される過去―デヴィッド・ヘア『プレンティ』とブレヒト的あるいは残滓的“経験”の問題)
第3部 ラディカルなネイションへ(社会の“消失”とモダニゼイション―トリリング、ウィルソン、ウィリアムズ;英語圏ナショナリズム論のなかのウェールズ―一九八三年のネイション、そして“個人”;盲者のまなざし、カイツブリの眼―『ブラック・マウンテンズの人びと』から『大阪アースダイバー』へ)
活動としての文化、そして「わたしのソーシャリズム」へ
著者等紹介
大貫隆史[オオヌキタカシ]
1974年茨城県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。釧路公立大学経済学部准教授を経て、関西学院大学商学部および言語コミュニケーション文化研究科准教授。スウォンジー大学リチャード・バートン・センター客員研究員。関心領域は二〇世紀イギリス文化、文化の思想、レイモンド・ウィリアムズ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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