出版社内容情報
言語には、同一の表現を繰り返し使用するのではなく、それに代わる代用表現を用いるという一種の省エネルギーの装置が備わっている(代用表現が無形である場合が削除である)。先行詞とその代用表現の間に成り立つ関係を照応と呼び、有形の代用表現の照応関係が成り立つための条件は何かという問いに答えるために提案されたのが束縛理論である。
第I部では、束縛理論に基づき照応関係を分析する。第II部では、削除(省略)の統語的特徴を探り、日本語の削除現象も取り上げる。
"第I部 束 縛
第1章 照応現象
1.1 照応とは/1.2 照応のいろいろ/1.3 深層照応と表層照応/ 1.4 代用形と先 行詞の関係(c統御)/1.5 束縛
第2章 照応の特性と理論的意義
2.1 束縛理論成立までの研究史/2.2 束縛原理/2.3 束縛原理の適用レベル/2.4 照応形と代名詞/2.5 束縛理論と先行条件/2.6 束縛原理Cについて/2.7 束縛原理 の生得性
第3章 束縛理論とPRO
3.1 PROとそれが生起する位置/3.2 PROと格/3.3 PROのコントロール/3.4 PROと 痕跡/3.5 pro
第4章 その他の照応
4.1 束縛代名詞,交差現象/4.2 絵画名詞句内の照応形,発話主体指向性,長距離照 応形/4.3 one照応/4.4 動詞句照応(do so, do it, イギリス英語のdo)/4.5 文 の照応(itとso)
第II部 削 除
はじめに:削除に関する3つの不思議
第5章 削除現象の一般的性質
5.1 表層照応と深層照応/5.2 ゆるやかな同一性(スロッピー解釈)/5.3 空所化 と削除
第6章 削除現象の統語分析
6.1 削除現象の問題点/6.2 1980年代におけるX'理論の展開/6.3 Lobeck (1990) とSaito and Murasugi (1990) の削除に関する一般化/6.4 削除に関する一般化から 導"
目次
第1部 束縛(照応現象;照応の特性と理論的意義;束縛理論とPRO;その他の照応)
第2部 削除(削除現象の一般的性質;削除現象の統語分析;日本語における削除現象;削除現象分析の諸問題;日本語のVP削除をめぐって)
著者等紹介
有元将剛[アリモトマサタケ]
1945年岐阜県生まれ。国際基督教大学大学院教育学研究科修士課程修了。南山大学外国語学部教授
村杉恵子[ムラスギケイコ]
1960年長野県生まれ。津田塾大学修士課程、コネチカット大学博士課程修了。Ph.D.(言語学)。南山大学外国語学部教授
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