出版社内容情報
先に「間違いだらけの少年H」、「書かれなかった戦争論」を刊行した山中恒・山中典子のコンビが、さらに「少年H」に隠された戦時史の盲点に挑戦した。この盲点というのは、戦後歴史観によって故意に排除されたものか、あるいは無意識に見落とされたかして、欠落させられてきた戦時史の重大な問題点なのである。もちろん戦後、しばらくの間は、そうした盲点も盲点にはなっていなかった。それほど遠い昔のことではなく、共通体験の範囲内だったから、解説などしなくても理解されていた事柄であった。だが、それがそのまま解説なしに戦後六十年になろ
【目次】
第1章 『少年H』と『間違いだらけの少年H』
1 『間違いだらけの少年H』刊行後の当初の反応
2 講談社の『少年H』の文庫化に伴う彌縫策的改訂の若干の実例
第2章 『少年H・下巻』も間違いだらけ
幻の杉田先輩―敗戦の日に杉田先輩は神戸ニ中にいないはず
第3章 『少年H』の盲点―決戦下の夏休み
1 「夏季休止」とは『夏休み』のこと
2 学徒勤労動員
3 スポーツよりも鍛錬を
4 戦時下の新制中学校は英語を教えた
5 カタカナ語
第4章 戦時史の忘れもの
1 事変と戦争
2 「旗日」と「日の丸」
第5章 「神の国」と戦時教科書
1 神国日本意識の養成
2 教育勅語(教育ニ関スル勅語)
3 国體という概念
第6章 幻の第十二回オリンピック東京大会
1 東京オリンピックへの期待度
2 第十二回オリンピック大会を東京に!
3 返上までの苦難
4 ついに東京オリンピック大会を返上
第7章 「神の国」の神とは?
第8章 神社参拝と信教の自由
第9章 靖国神社と国民精神
第10章 靖国神社と公葬問題
あとがき