出版社内容情報
あらゆる因習を打ち壊そうとする流れの中、女性達の意識覚醒が行われ、その機運が第二波フェミニズム運動として盛り上がった60年代。現在イギリス文壇の中核をなす女性作家の多くがこの時期に活動を開始する。近代精神の根幹をなす合理主義、ヴィクトリア朝的価値観、男性優位の社会構造などを検証しつつ、女という枠組を壊そうとする彼女らのエネルギーは、それ以前から活動してきた女性作家たちを巻き込み、渦巻く奔流となって新たなイギリス小説を創ってゆく。
内容説明
合理主義や因習を超えた、新しい時代に向かって。女たちは覚醒し、渦巻く奔流となってあらゆる枠組みを破壊する。
目次
序 60年代・女が壊す
第1章 破壊と創造―ドリス・レッシング『黄金のノート』
第2章 見えないかごの中で鳥は羽ばたく―マーガレット・ドラブル『夏の鳥かご』
第3章 感性の羅針盤―リン・リード・バンクス『L字型の部屋』
第4章 60年代の“青髭”と“眠れる森の美女”―ペネロピ・モーティマー『パンプキン・イーター』
第5章 屋根裏の狂女の復権―ジーン・リース『サルガッソーの広い海』
第6章 「腐った根」を探す人々―バーニス・ルーベンス『いがみあい』
第7章 「あいるらんどのやうな田舎」―エドナ・オブライエン『カントリー・ガール』
第8章 不倫と歳月―エリザベス・ジェイン・ハワード『ジュリアスにならって』
第9章 若き女性芸術家同士の葛藤―アントニア・スーザン・バイアット『ゲーム』