出版社内容情報
モダニズム/ポストモダニズムをめぐる近年の議論(オルテガ、グリーンバーグ、ビュルガー、カリネスク、クロウetc.)を整理し、モダニズムには純粋化をめざす「内向き」のほか、反芸術を掲げる「外向き」の動きがあったとの立場から、ポスト・モダンヘの移行の道筋をたどり直す。この芸術論を応用して、アメリカを中心に、グラハム、カニンガム、サーブ以下交錯する現代舞踊の流れを押え、様々なホットな試みを紹介・分析する。タイトルは、反抗すべき対象(父)へ最終的に帰還する「放蕩息子」ではなく、今や最初から故郷に居場所をもたず、浮
内容説明
本論は、アメリカ現代舞踊におけるモダニズムからポストモダニズムへの移り行きの過程を、両概念の理論的背景や他の芸術ジャンルとの比較を通して解明しようとする試みである。カニングハム以降の現代舞踊の展開に照明を当てながら、舞踊におけるモダニズムの位置を定め、諸ジャンルの差異を越えて共通して認められるポストモダニズムの特徴的傾向を明らかにし、その上で舞踊におけるポストモダニズムの様態に論及するという構成を採った。
目次
第1部 モダニズム展望(モダニズム芸術の概念史―「脱人間化」と「自己批判」;マース・カニングハム―舞踊におけるモダニズムの導入;ポストモダンダンス―そのミニマリスト的展開)
第2部 ポストモダニズムの芸術論(モダニズム再解釈―モダニズムからポストモダニズムへ;ポストモダニズム、あるいは多重システムの共生;ポストモダニズムの戦略としての脱構築)
第3部 メタ舞踊、あるいは脱構築としての舞踊(現代舞踊の新傾向―ポスト・ポストモダンダンス;トワイラ・サープにおける引用の様態;「新しい音楽性」―文化の商品化;舞踊のなかの演劇―そのポストモダン的展開)